手当を未払割増賃金に組み替える制度変更は? 固定残業代導入の同意認めず サンフリード事件(長崎地判平29・9・14)

2018.06.07 【判決日:2017.09.14】

 外勤手当などを固定残業代に置き換える就業規則変更の効力を争った。労基署から残業代未払いの指導を受けて制度を見直したもの。長崎地裁は、過半数代表者の選出手続きは行われず、代表者の意見書から条件変更に同意した事実を推認できないとした。就業規則の合理性に関しては、残業代として支給する額や対応する時間数を明示しておらず不利益変更を無効とした。

代表者選出に不備 額や時間明示なく

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Y社は、米穀の売買・加工、飲食料品並びに日用雑貨の売買、麺の製造・販売等を業とする会社である。Xら(5人)は、平成16年~平成23年までの間にY社との間で期間の定めのない労働契約を締結した者である(但し、判決までに2人は退職)。

 Y社では、一年単位の変形労働時間制に関する協定届を長崎労基署長に毎年提出していた。使用者は、事業場の過半数の労働者で組織する労働組合またはそのような組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者との書面で協定する必要があるが(労基法32条の4)、協定届には、Y社の管理部係長(以下、「当該係長」)が署名押印を行ったものの、その際、投票・挙手等による労働者代表の選出は行われなかった。

 Y社は長崎労基署より、平成23年には長崎県最低賃金に対する不足額および割増賃金(時間外労働、深夜労働)の不足分の支払い等につき、平成24年には一事業場の従業員各人の時間外労働の調査およびその結果把握した未払いの時間外労働・休日労働手当の支払い等につき、佐世保労基署より勧告・指導を受けた。

 前述の労基署からの勧告・指導を受け、Y社としては、全社員の残業代を清算すれば経営が圧迫されるとして、現状の支給額を保ちつつ改善を図るため、基本給以外で、家族手当を除く手当部分(物価手当、外勤手当、現場手当〈内勤手当、外勤手当、工場手当、運転・倉庫・精米手当〉)を残業代相当の支給額とし、それ以上に超えた時間に関しては、…

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掲載 : 労働新聞 平成30年6月11日第3164号14面

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