和歌山労基署長事件(和歌山地判令3・4・23) 早期昇格し同僚らからいじめ、うつ病原因に? 一連の出来事で負荷は“強”

2021.12.09 【判決日:2021.04.23】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 幼稚園の副主任がうつ病やPTSDを発症したのは、早くに昇格したことで対立した同僚らからのいじめが原因として労災不支給の取消しを求めた。和歌山地裁は、心理的負荷を与えた12個の出来事は、共通の人間関係を基礎とする中で連続して発生しており、半年より前の出来事も含めて負荷を「強」と評価。負荷はそれぞれ「弱」や「中」だが、一体ないし一連のものと評価している。

半年より前も考慮 不支給処分取消し

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 甲(昭和39年生)は、本件幼稚園に勤務する教諭で、平成17年4月に本件幼稚園を経営するaと雇用契約を締結している者である。

 甲は、平成24年4月から副主任に昇格したが、本件幼稚園において経験年数を上回るB教諭(平成15年から勤務)を差し置いての昇格であった。

 平成24年4月以降、甲とB教諭との関係が悪化するとともに、甲の上司に当たるd教頭とf教務主任との間の関係も悪化し、甲は副主任に就任直後から困難な人間関係に置かれていた。その後、甲は体調不良を訴えて、平成25年4月から出勤しなくなり、「うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)」と診断され、休職している。

 甲は、平成26年7月、本件幼稚園のB教諭らから、いじめ、嫌がらせ、無視等を受けたため、PTSDを発症し、休職を余儀なくされたものと主張して、労災保険法に基づく休業補償給付の支給を請求したが、本件処分庁はこれを認めない不支給決定をしたことから、その取消しを求めて本訴を提起した。本判決は、第一審判決である。

 争点は、甲の精神障害の発病に業務起因性が認められるかであるが、本判決はおよそ以下のように判示して、本件処分庁の不支給処分を取り消した。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
令和3年12月20日第3333号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。