ジェイ・シー・エム事件(大阪地判平16・8・30) 勤務2カ月でバイト突然死、遺族が賠償求める 長時間労働の弊 予見できたと訴え認容

2005.03.28 【判決日:2004.08.30】
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 雑誌広告業務のアルバイト男性が採用約2カ月後、虚血性心疾患と推定される症状で突然死し、遺族が損害賠償を求めたもので、死亡前1週間の残業が50時間超などの実態から、長時間労働の弊害は周知の事実としたうえ、体調不良などの訴えがなくても予見は可能と判示、喫煙状況から20%減額を適当とした。

不調申告なくても 喫煙で20%を減額

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 被告Y会社の支店で中古車流通・情報雑誌の広告制作業務に採用されたアルバイトAが約2カ月後突然死をした事案について、Aの遺族がその死亡の原因はYにおける過重労働が原因であり、安全配慮義務違反があるとして、逸失利益等の損害賠償を請求した事案である。

判決のポイント

 1 Aは、採用以来、恒常的に時間外労働に従事し、その時間外労働時間は、死亡前1週間で50時間30分、死亡前4週間で88時間7分に及んでおり、死亡前の9日間にわたり休日もなく連日勤務し、死亡直前の5日間は、午後11時30分過ぎから翌日の午後3時30分過ぎまで勤務し、十分な睡眠時間、休息時間がとれず、不慣れな業務のうえ、締め切りが迫っている中で面倒な作業を行っていた等精神的、肉体的疲労が相当程度蓄積していたことに加えて1日あたり20本ないし30本の喫煙を重ね、それらが相まって心筋梗塞を発症させたものであり、業務と死亡に相当因果関係がある。

 2 使用者は、雇用契約上の信義則に基づいて業務の遂行に伴って被用者にかかる負荷が著しく過重なものとなって、被用者の心身の健康を損なうことがないよう、…

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平成17年3月28日第2530号14面 掲載

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