(株)梅津・真田陸運事件(東京地判平8・2・13) 配送先で労災 安全配慮義務どこに? 配送先の賠償を認める

1996.07.01 【判決日:1996.02.13】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

基本的には雇主も危険防止義務負う

筆者:弁護士 安西 愈

事案の概要

 本件は、配送先の会社に清涼飲料水の缶ケースを運んだ運送会社の運転手が、缶ケースを載せた台車とともに、「人のとう乗禁止」のステッカーの貼ってある荷物運搬用の簡易リフトに搭乗して2階倉庫へ運搬中にワイヤーが切れ、リフトごと落下して、頚椎挫傷など9級の傷害を負い労災認定を受けたことから、配送先の会社および勤務していた雇用主の会社に対し、安全配慮義務に違反するとして損害賠償を請求した事案である。

判決のポイント

 本件事故当時、配送先の会社と原告との間に直接の契約関係があったとはいえないが、他方配送先は、自己の支配領域内である東京支店において、本件清涼飲料水の売買契約の履行として、販売先のメーカーと被告運送会社との運送契約に基づき、その履行補助者たる原告に対し自己の従業員である倉庫係をして、二階倉庫までの本件缶ケースの運搬を指示させたうえ、その施設の一部である本件リフトに乗ることを反復して指示させたものであり、このような場合、たとえ配送先と原告との間に直接の契約関係がなくても、配送先(買受人)と原告とは、配送先とメーカーとの間の本件売買契約に基づき特別な社会的接触関係に入った者というべく、配送先は、本件売買契約上の付随義務として、メーカーの履行代行者である被告運送会社の履行補助者たる原告に対しても、その生命、身体の安全等を危険から保護するよう配慮すべき信義則上の義務を負っているというべきである。

 ところが、配送先会社は、本件リフトへの搭乗禁止の趣旨を徹底せず、漫然と倉庫係が原告に対し、本件リフトに搭乗するよう指示していた事態を放置した結果、本件事故が発生したものであるから、右義務違反に基づき、原告に生じた損害を賠償する義務を負うべきであり、配送先会社は民法415条に基づき、原告に生じた損害を賠償すべき責任があることになる。

 他方、雇用主である運送会社については、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成8年7月1日第2111号10面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。