労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2019.12.12 【判決日:2019.07.30】
学校法人Y学園事件(名古屋地判令元・7・30) 教授に懲戒歴あり65歳定年後の再雇用拒否は? 定年に雇止め法理類推適用
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  • 定年・再雇用
  • 退職

 元教授が譴責処分を理由に、65歳定年後の再雇用を拒否されたのは無効として賃金支払等を求めた。規程で懲戒処分を受けた者を再雇用しない旨定めていた。名古屋地裁は、懲戒事由とされた情報漏えいは認められず処分無効としたうえで、雇止め法理を類推適用。過去、ほぼ全員が68歳の限度まで再雇用されており、給与規程に基づき定年時の俸給を適用し3年分の賃金……[続きを読む]

2019.12.05 【判決日:2019.04.24】
近畿大学事件(大阪地判平31・4・24) 男性講師が9カ月育休、定昇なく損害賠償請求 就労期間あり昇給停止違法
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  • 昇給昇格・降格

 育休を9カ月間取得した男性講師が、定昇が行われず損害賠償を求めた。大学では、前年度12カ月勤務した者を1号俸昇給させていた。大阪地裁は、昇給は在籍年数に応じた年功賃金的な制度としたうえで、育休以外は就労し、功労を一切否定するのは不合理と判断。不法行為が成立するとした。私傷病休職等で昇給が抑制されていたとしても、育休の不利益取扱いは否定さ……[続きを読む]

2019.11.28 【判決日:2018.09.13】
公益財団法人後藤報恩会ほか事件(名古屋高判平30・9・13) 面談で注意指導、声荒げず違法性なしの一審は 職場排除示唆したパワハラ
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  • 退職
  • 退職勧奨

 学芸員がパワハラを受けたとして、退職後に慰謝料を求めた。館長らは年休の取得方法や時季を問題視して、面談で「非常識」「次は辞表を書いていただく」などと発言した。声を荒げず職務上の注意指導とした一審に対し、高裁は、館長らは代表理事の親族であり、地位、立場に照らし職場から排除を示唆されたと感じ得るもので、社会的相当性を逸脱する退職勧奨でパワハ……[続きを読む]

2019.11.21 【判決日:2019.01.11】
社会福祉法人どろんこ会事件(東京地判平31・1・11) 年収1000万円で採用した部長の本採用拒否 期待した「管理能力」を欠く
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  • 労働契約
  • 試用期間

 年収1000万円超で中途採用された部長が、3カ月の試用期間後の解雇は無効と訴えた。東京地裁は、経歴から高いマネジメント能力を期待されていたが、高圧的な言動を繰り返し協調性を欠くなど本採用拒否を相当と認定。突然部下に降格をほのめかしパワハラと通報されたほか、経歴も一部虚偽だった。即戦力採用で、問題行動の改善指導がなくても判断に影響を及ぼさ……[続きを読む]

2019.11.14 【判決日:2018.11.02】
文際学園事件(東京地判平30・11・2) 外国人講師と学期間の契約を結ばず年休なし!? 実質的に「継続勤務」の状態
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  • 年休

 学校の前期と後期の間に約2カ月の有期契約の空白があり、年休が発生する6カ月の継続勤務の要件を満たさないとして、欠勤扱いされた外国人講師2人が未払賃金を求めた。東京地裁は、契約中に次期の契約依頼書が交付され更新し続けてきたことなどから、実質的に継続勤務と評価。その他、就業規則をコピーできずパワハラなどと訴えたが、コピーを求める法的根拠はな……[続きを読む]

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