労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2018.06.28 【判決日:2018.06.01】
長澤運輸事件(最二小判平30・6・1) 定年後も同一職務、非正規の格差で最高裁判決 賃金引下げ不合理といえず ★
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 定年・再雇用
  • 賃金

 定年後の嘱託再雇用により賃金全体を2割引き下げたことが、労契法の不合理な労働条件に当たるか争った事案で、最高裁は、職務などは同一としたうえで、定年後の再雇用を「その他の事情」として考慮。関連する賃金項目の趣旨に照らし、精勤手当など2つの手当を除き相違を違法でないとした。年金の開始まで調整給を支給するなど賃金制度上、配慮・工夫したと評価し……[続きを読む]

2018.06.21 【判決日:2017.11.30】
東京電力パワーグリッド事件(東京地判平29・11・30) 精神疾患で休職、主治医見解採用せず退職扱い 「リワーク支援」も復職困難
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  • 休職
  • 休職の終了・満了

 精神疾患で休職中、リワーク(復職支援)プログラムに参加した技術系社員が、休職期間満了による退職無効を求めた。東京地裁は、低い出席率などリワークの評価からは症状が回復したとはいえず、評価を参照せずに就労可能とした主治医の見解は参酌できないとした。本人は配転を希望するが、人間関係の構築は必要で、精神状態の悪化を招く可能性があるとしている。……[続きを読む]

2018.06.14 【判決日:2018.02.22】
サニックス事件(広島地裁福山支判平30・2・22) 48歳新人“地獄の研修”で障害負い損害賠償請求 歩行訓練中の安全配慮怠る
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  • 労働契約上の権利義務
  • 安全配慮義務

 新人研修の「24キロ歩行」で膝関節等を負傷し、労災認定を受けた48歳男性が、会社に損害賠償を求めた。研修の講師養成学校では、「地獄の訓練」と称していた。裁判所は、訓練を中断せず病院受診を認めなかったとして安全配慮義務違反と判断。年齢や体力差を考慮せずムリな研修とした。百キロの体重は病的肥満ではないとして、素因による賠償額減額は認めなかっ……[続きを読む]

2018.06.07 【判決日:2017.09.14】
サンフリード事件(長崎地判平29・9・14) 手当を未払割増賃金に組み替える制度変更は? 固定残業代導入の同意認めず
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  • 割増賃金
  • 就業規則の不利益変更
  • 賃金
  • 賃金・賞与

 外勤手当などを固定残業代に置き換える就業規則変更の効力を争った。労基署から残業代未払いの指導を受けて制度を見直したもの。長崎地裁は、過半数代表者の選出手続きは行われず、代表者の意見書から条件変更に同意した事実を推認できないとした。就業規則の合理性に関しては、残業代として支給する額や対応する時間数を明示しておらず不利益変更を無効とした。……[続きを読む]

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