労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2018.03.29 【判決日:2017.09.07】
九州惣菜事件(福岡高判平29・9・7) 定年後は時給900円、業務減り相当とした一審は 60歳から月収75%減認めず
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  • 定年・再雇用
  • 退職

 時給900円、1日6時間勤務での継続雇用を拒否して退職後、定年前の8割の賃金で地位確認を求めた事案。業務の範囲は定年前より限られ、時給額もパートと比べ不合理でないとした一審に対し、二審は、業務量の減少に伴い短時間勤務の提案に理由はあるが、月収「75%減」を正当化する合理性は認められないと判断。受け入れ難い条件で不法行為として慰謝料を命じ……[続きを読む]

2018.03.22 【判決日:2017.07.03】
シュプリンガー・ジャパン事件(東京地判平29・7・3) 育児休業前に問題あったと復職拒否し退職勧奨 育休明けの解雇合理性なし ★
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  • 均等待遇
  • 女性
  • 退職
  • 退職勧奨

 育休前の勤務態度を理由に復職を拒否し、退職勧奨したうえで8カ月後に解雇した。会社は弁護士らに注意や指導、軽い懲戒処分など段階を踏むよう助言を受ける一方で、職場内から不満が噴出し業務に支障が生じると主張するが、東京地裁は、解雇が法律上の根拠を欠くことを認識できたとして無効と判断。危険・損害が生じるおそれに関し具体的な裏付けもないとした。……[続きを読む]

2018.03.20 【判決日:2017.10.10】
東日本旅客鉄道(出向)事件(東京地判平29・10・10) 業務外注先へ移動命令、実質転籍と無効訴える 在籍出向で個別同意は不要
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  • 配転・出向

 外注先への出向期間が延長されるなど実質転籍として、組合員約60人が出向命令の無効を求めた。東京地裁は、高齢者の受入先拡大や技術承継の目的があり期間は長期化が予定されていたとしたうえで、就業規則に基づく在籍出向で個別同意は不要と判断。同水準の賃金と加算金の支給などを評価し、復帰せず定年を迎えても、不利益は異動に伴い甘受すべき範囲とした。……[続きを読む]

2018.03.14 【判決日:2010.11.19】
NTT西日本ほか事件(大阪高判平22・11・19) 時間外の営業やWEB学習を業務とした一審は 指揮命令下の時間ではない
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  • 割増賃金
  • 労働時間
  • 賃金

 友人らへの営業活動やWEB学習を業務と認め、賃金支払いを命じた事案の控訴審。売上げなど目標達成が求められていたとの一審に対し、大阪高裁は、営業時間や場所、方法は任意で本人のメモからは時間算出が困難なうえ、評価に影響もなかったとした。学習は、自己研鑽を推奨したに過ぎず、いずれも指揮命令下にないと判断。業務命令か曖昧な会社態度を不誠実とした……[続きを読む]

2018.03.07 【判決日:2017.03.28】
学校法人原田学園事件(岡山地判平29・3・28) 学級崩壊見すごしたと准教授を事務へ職務変更 視覚補助の配慮検討が必要
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  • 配転・出向

 短大の女性准教授が、事務職への職務変更は視覚障害が理由で違法無効と訴えた。学校が主張する学生の問題行動の放置に関して、岡山地裁は、補佐員など適切な視覚補助により対応可能と判断。望ましい補助を模索することが合理的配慮の観点から望ましいところ、検討せずになされた職務変更は著しい不利益を与え権利濫用で無効とした。慰謝料100万円を命じる。 不……[続きを読む]

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