労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2018.02.28 【判決日:2017.04.10】
紀北川上農協事件(大阪地判平29・4・10) 57歳からスタッフ職、本人同意なく昇給停止は 定昇・賞与なしの改訂有効
ジャンル:
  • 就業規則
  • 昇給昇格・降格
  • 賞与・一時金

 満57歳から定昇や賞与なしのスタッフ職とされた元職員が、退職後に未払賃金を求めた。昇給「できる」から「しない」と規定が改訂された。大阪地裁は、就業規則の不利益変更に関し、経営上高度の必要性はないが、年齢的に賃金は高いなど変更後の内容は相当性を欠くとはいえず、労組が反対していないことも考慮。なお、規定からは昇給等の権利は生じないとしている……[続きを読む]

2018.02.21 【判決日:2017.04.21】
甲学園事件(東京地判平29・4・21) 新学部の教員名簿に登載も採用されず賠償請求 内定前でも採用の期待侵害
ジャンル:
  • 労働契約
  • 採用内定

 新設学部の教員予定者とされていた他大学の准教授ら2人が、学部認可後に採用されず不当な内定取消しと訴えた。学部認可に必要な教員名簿には氏名が登載されていた。東京地裁は、労働契約締結の期待は法的保護に値する程度に高まっていたと判断。採用内定とはいえないが、文科省の教員審査後も面接など採用手続きを執らず不誠実とした。55万円の慰謝料を認容。……[続きを読む]

2018.02.14 【判決日:2017.02.23】
半田労基署長事件(名古屋高判平29・2・23) 残業85時間で過労死、持病も複数あり業務外? 睡眠不足し100時間超の負荷
ジャンル:
  • 労災
  • 業務上・外認定

 心疾患発症前の残業数は認定基準を満たさず、複数ある持病の影響も否定できないとして労災不支給とされた遺族が控訴した。二審は、うつ病による睡眠不足を理由に、85時間の残業は平均的労働者の100時間超に匹敵すると判断。発症の主要因は過重労働で、うつ病が基礎疾患か否かは相当因果関係の判断に影響を及ぼさないとした。深夜の飲酒等も日常生活の範囲内と……[続きを読む]

2018.02.07 【判決日:2017.06.29】
東日本旅客鉄道事件(東京地判平29・6・29) 賞与支給直前に定年退職、不支給は差別と提訴 「基準日在籍要件」に合理性
ジャンル:
  • 定年
  • 賃金
  • 賞与・一時金

 賞与の「支給基準日」の1日前に定年退職した元従業員が、合理性のない差別的取扱いとして損害賠償を求めた。支給日の1カ月以内に退職した者には支給すると規定していたもの。東京地裁は、支給日に近接した基準日を設け、在籍を要件とすることの合理性を認容。査定期間にすべて従事したとの主張には、将来の貢献への期待要素が含まれ、賃金と同視できないとした。……[続きを読む]

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