労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2017.03.27 【判決日:2016.01.27】
X社事件(東京高判平28・1・27) 時間外と深夜含む定額残業代、月45時間超は違法? 残業月70時間分の手当有効
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  • 賃金
  • 割増賃金

 飲食店元店員が、時間外70時間、深夜100時間分の定額残業代は、36協定の限度基準を超え無効と訴えた。一審は、労基法の割増賃金に不足した場合、別途支給する規定があり、手当額から検証可能とした。東京高裁も、法では定額残業代に対応する時間数の明示まで求めていないと判断。限度基準は絶対的上限ではなく、特別条項を無効とすべき事情もないとしている……[続きを読む]

2017.03.20 【判決日:2016.08.03】
空調服事件(東京高判平28・8・3) 社労士有資格者をパート採用、1カ月の試用で解雇 労務担当者として資質欠く
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  • 労働契約
  • 試用期間
  • 解雇
  • 解雇権の濫用

 社労士有資格者をパートとして中途採用したが、会議の発言を理由に1カ月の試用中解雇した。人事労務の機微に触れる情報を管理できる前提で採用したが、社員の情報共有の場である会議で突然「決算書は誤り」と発言したもので、事前に関係者の確認を怠り単なる自己アピールに過ぎないとして、承知していたら採用することはない資質に関わる情報で解雇有効とした。……[続きを読む]

2017.03.13 【判決日:2016.08.25】
L社事件(東京地判平28・8・25) 60歳前後で賃金差、同一労働同一賃金に違反と提訴 2割減は社会通念から許容 ★
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金

 他社を定年退職後に嘱託採用された車両管理者が、再就職先に対し60歳前の正社員との基本給の差は、同一価値労働同一賃金の原則に反すると訴えた。東京地裁は、法令に同規定はないが不合理な差別は不法行為になり得ると判断。雇用保険や老齢年金を含め60歳前の8割程度を得るなど社会通念上不相当とはいえないとした。異動の配慮から職務は同等同質でないとした……[続きを読む]

2017.03.06 【判決日:2016.04.15】
メルファインほか事件(京都地判平28・4・15) 労働審判後に破産手続き、他社で事業継続し責任は 倒産は賃金支払回避が目的
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  • 賃金
  • 賃金請求権

 会社が労働審判で未払賃金の支払いを命じられた後に倒産したため、元従業員が事業の継続先や代表取締役らに対し解決金相当額の支払いを求めた。京都地裁は、債務を免れるために倒産させ、事業を継続させたもので法人格の濫用で共同不法行為と判断。被告らは親会社倒産による連鎖倒産と主張したが、資金供給など資金繰りの実態から必然的とはいえないとした。 法人……[続きを読む]

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