労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2016.07.25 【判決日:2015.10.22】
国・広島中央労基署長事件(広島高判平27・10・22) 仕事与えられずうつ病再発、労災不支給の取消請求 心理的な負荷強く業務災害
ジャンル:
  • 労災
  • 業務上・外認定

 うつ病休職から復帰後、再発したのは仕事を与えられないなどパワハラが原因として、労災不支給処分の取消しを求めた。広島高裁は、本人の態度を理由に一方的に作業場所への入室を禁じ、3カ月間日報の整理以外担当させず、劣等感や恥辱感を与えたもので心理的負荷は強度と判断。発症との相当因果関係を認めた。配置の裁量権を逸脱しパワハラに該当し得るとした。……[続きを読む]

2016.07.18 【判決日:2015.09.28】
東京都・都労委(ソクハイ)事件(東京地判平27・9・28) 運送委託を解除、団交で理由説明なく不当の判断は 誠実交渉に反し支配介入も ★
ジャンル:
  • 労働組合

 運送委託契約の解除や団交での対応を不当労働行為とされ、会社が都労委の救済命令取消しを求めた。東京地裁は、契約解除は協議事項であり、労組が解除理由の説明を求めたのに対し、必要はないと回答するなど論拠を示さず誠実交渉義務に反すると判断。副執行委員長の契約を2カ月で解除したことは、組合活動が決定的な動機と推認。組合弱体化を図る支配介入とした。……[続きを読む]

2016.07.11 【判決日:2015.10.02】
全国重症心身障害児(者)を守る会事件(東京地判平27・10・2) 育児で勤務2時間短縮、昇給抑えられたと差額請求 時短理由の不利益な取扱い
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  • 均等待遇
  • 女性
  • 昇給昇格・降格

 看護師が育児短時間勤務で昇給を抑制されたとして、本来の号給にあることの確認等を求めた。業績評価に基づく昇給号俸に、短縮後の所定労働時間である8分の6を乗じたもので、東京地裁はノーワークノーペイの適用のほかに本来与えるべき昇給利益を十分に与えず、育介法の禁止する不利益取扱いと判断。ただし昇給自体無効ではなく、損害賠償金として差額を認めた。……[続きを読む]

2016.07.04 【判決日:2015.09.29】
ミトミ事件(大阪地判平27・9・29) 組合活動の撮影強引に止められ骨折したと賠償請求 自ら転倒し7割を過失相殺
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 労働組合
  • 損害賠償

 組合員が組合活動を撮影中、静止しようとした社員に転倒させられ骨折したとして加害者や会社に損害賠償を求めた。大阪地裁は、怒声を発して静止を迫り接触がないとも考えにくく、違法な有形力の行使で不法行為と評価。突き飛ばしや足の踏みつけはなく不自然な姿勢で後ずさりして倒れたもので、7割を過失相殺した。静止は事業執行につき行われ使用者責任も認容。……[続きを読む]

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