育児で勤務2時間短縮、昇給抑えられたと差額請求 時短理由の不利益な取扱い 全国重症心身障害児(者)を守る会事件(東京地判平27・10・2)

2016.07.11 【判決日:2015.10.02】

 看護師が育児短時間勤務で昇給を抑制されたとして、本来の号給にあることの確認等を求めた。業績評価に基づく昇給号俸に、短縮後の所定労働時間である8分の6を乗じたもので、東京地裁はノーワークノーペイの適用のほかに本来与えるべき昇給利益を十分に与えず、育介法の禁止する不利益取扱いと判断。ただし昇給自体無効ではなく、損害賠償金として差額を認めた。

一律「8分の6」に 損害賠償金を認容

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、原告ら3人が、被告において育児短時間勤務制度を利用したことを理由として本来昇給すべき程度の昇給が行われなかったことから、育児介護休業法(以下、育介法という)等に違反するとして、以下のとおり給与の差額等を求めた事案である。

 (1)昇給抑制は法令および就業規則に違反して無効であるとして、昇給抑制がなければ適用されている号給の労働契約上の地位を有することの確認、(2)労働契約に基づく賃金請求として昇給抑制がなければ支給されるべきであった給与と現に支給された給与の差額、(3)昇給抑制は不法行為に当たり原告らは精神的物質的損害を受けたとして、不法行為に基づく慰謝料等の損害賠償金の支払いを求めた。

判決のポイント

 育介法の規定の文言や趣旨等に鑑みると、同法23条の2の規定は、その目的及び基本理念を実現するためにこれに反する事業主による措置を禁止する強行規定として設けられたものと解するのが相当であり、労働者につき、所定労働時間の短縮措置の申出をし、又は短縮措置が講じられたことを理由として解雇その他不利益な取扱いをすることは、…

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掲載 : 労働新聞 平成28年7月11日第3072号14面

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