労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2016.04.25 【判決日:2015.08.07】
M社事件(東京地判平27・8・7) 成績不良者へ叱咤激励したはずの言動で降格処分? 幹部の職責に反しパワハラ
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 暴力・暴言

 営業ノルマ未達成の部下6人に対するパワハラを理由に懲戒処分として降格された元役員補佐が、叱咤激励だったと主張して処分無効を求めた。東京地裁は、「辞めると一筆書け」など約30の言動は、就業規則のパワハラ定義に当てはまり懲戒事由にも該当すると判断。適切に指導せず、退職を強要し執拗に迫ったことは極めて悪質で、幹部としての地位職責に反し処分相当……[続きを読む]

2016.04.18 【判決日:2014.05.21】
ソクハイ(契約更新拒絶)事件(東京高判平26・5・21) 業務委託のメッセンジャー、契約打ち切られ解雇? 労働者性なく法の適用除外
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  • 労基法の基本原則
  • 労働者

 バイシクルメッセンジャーが、委託契約の更新拒否は解雇に当たるとして地位確認等を求めた。東京高裁は、労組法の労働者とした判例はあるが、労基法や労契法の目的に照らすと労働者性の扱いに差異が生じると判断。使用従属性について、稼働日や時間は自由に決定でき、配送依頼を拒否できるなど労基法上の労働者に当たらず、労契法の解雇権濫用法理も適用なしとした……[続きを読む]

2016.04.11 【判決日:2015.07.31】
シャノアール事件(東京地判平27・7・31) バイトの契約途中に更新上限、4年11カ月で打切り 勤務頻度低く雇止め合理的
ジャンル:
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 アルバイト掛け持ちの大学院生に対し、契約途中に更新上限を設け4年11カ月で雇止めしたところ地位確認等を求められた。東京地裁は、契約を下回る勤務頻度から雇止めされてもおかしくなく、雇用継続の合理的期待は認められないと判断。期間が長いバイトと店長の軋轢があったことから更新上限の設定もやむを得ないとした。無期転換の適用回避との主張も斥けた。……[続きを読む]

2016.04.04 【判決日:2014.11.28】
暁産業ほか事件(福井地判平26・11・28) 高卒新人が約半年で自殺、パワハラ原因と賠償請求 叱責の域を超えて不法行為
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償
  • 労災

 高卒で入社して約半年後に自殺したのは上司のパワハラが原因として、遺族が損害賠償を求めた。福井地裁は、手帳の「死んでしまえばいい」などの言動は、叱責を超えて人格を否定し、威迫したと認容。記載は客観的事実とも符合し不法行為とした。極めて強度の心理的負荷を受け精神障害を発症したとして、自殺との相当因果関係を認め、約7200万円の支払いを命じた……[続きを読む]

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