暁産業ほか事件(福井地判平26・11・28) 高卒新人が約半年で自殺、パワハラ原因と賠償請求 叱責の域を超えて不法行為

2016.04.04 【判決日:2014.11.28】
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 高卒で入社して約半年後に自殺したのは上司のパワハラが原因として、遺族が損害賠償を求めた。福井地裁は、手帳の「死んでしまえばいい」などの言動は、叱責を超えて人格を否定し、威迫したと認容。記載は客観的事実とも符合し不法行為とした。極めて強度の心理的負荷を受け精神障害を発症したとして、自殺との相当因果関係を認め、約7200万円の支払いを命じた。

認定根拠は「手帳」 強度な心理的負荷

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 Aは、高校卒業後の平成22年4月、消火器販売、消防設備の設計施工保守点検等を業とするY社に正社員として入社した。Y社が委託を受けた各企業の事務所消防設備、消火器等の保守点検を行うB部に配属された。

 B部では、現場ごとにリーダーの下、2ないし4人で作業しており、Aは、同年7月頃から、消火栓、火災報知器等の点検にも従事し、直属上司の甲に同行して指導を受けることが多かった。甲から、仕事での注意を必ず手帳に書き、ノートに書き写すよう指示され、甲の指導内容、甲から言われた言葉やこれらを巡り自問自答する内容をノートに記述するようになった。Aは、7月半ば頃、仕事時間中に母親へ電話し、「仕事を辞めてもよいか」と尋ね、ペアで作業をしている人から仕事がはかどらないから車の中にいろといわれて、車の中にいる、自分の時間を返せともいわれていると、泣きながら話した。

 Aは、同年12月6日には、午前6時13分、Y社からの不在着信があり、同14分に折り返し電話して甲と話をした。同日から翌週と続けて甲と2人で現場に行くことになっていた。その直後、自宅2階の自室で、首をつり自殺した。…

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平成28年4月4日第3059号14面 掲載

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