労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2015.05.25 【判決日:2015.01.28】
国際自動車事件(東京地判平27・1・28) 乗務員の歩合給算定で別途支払う割増賃金控除は? 違法ではないが公序に反する ★
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  • 割増賃金
  • 賃金

 歩合給の計算で残業手当などに相当する額を控除する規定は無効として、タクシー乗務員らが未払い賃金を求めた。東京地裁は「揚高」が同じ限り、残業等の有無にかかわらず賃金は同じになり、法の趣旨を潜脱し、公序良俗に反すると判断。通常の割り増し相当額が保証されないとしたが、揚高に基づき一部は支払われており、法自体に違反するものでないとして賦課金請求……[続きを読む]

2015.05.18 【判決日:2014.07.10】
A住宅福祉協会事件(東京高判平26・7・10) 一審で主張しなかった懲戒解雇事由を二審で追加? 時機に後れた攻撃防御方法
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  • 懲戒・懲戒解雇

 業務命令違反など5つの懲戒事由を通知し解雇したところ、地位確認を求められた。一審では主に2つを解雇の根拠としたが、相当性を欠き解雇無効とされたため、代理人を変えて控訴した。二審で残りの事由を追加主張したが、東京高裁は攻撃防御方法の提出として時機に後れ、故意または重過失に当たると判断。証拠調べに時間を要し訴訟完結が遅延するとして却下した。……[続きを読む]

2015.05.11 【判決日:2014.09.17】
国・八王子労基署長事件(東京地判平26・9・17) 責任者就任後3カ月で自殺、入社前のうつ病原因? 安定した状態の障害が悪化 ★
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  • 労災
  • 業務上・外認定

 入社前にうつ病となったカフェ店員が、責任者就任後3カ月で自殺した事案。業務上の「特別な出来事」は存在せず労災不支給とされ、遺族が提訴した。東京地裁は症状は安定しており、業務の強い心理的負荷で精神障害を発症したと判断。仮に業務以外の原因で発症したと判断しても、強い負荷をもたらす出来事が複数あり、特別な出来事に準ずるものが存在とした。 総合……[続きを読む]

2015.05.04 【判決日:2014.04.11】
国立大学法人茨城大学事件(水戸地判平26・4・11) 大学訴えた教授を学長が非難、名誉棄損に当たる? 社会的な評価を低下させた
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  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償

 ハラスメント被害の対応が不適切として大学を訴えた教授2人が学長に避難されたことなどから、さらに名誉棄損で訴えた。水戸地裁は、学長は全職員へのメールで恥ずべきと表現し、職員としての不適格性を印象付けたほか、会議の録音禁止前にもかかわらず裁判で記録を提出した教授をモラルと良識に反すると非難したことで、社会的評価が低下したとして賠償を命じた。……[続きを読む]

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