広島中央労基署長事件(広島地判平8・3・26) 医療上不利なじん肺患者の死亡に労災請求 不支給処分取り消す

1997.08.18 【判決日:1996.03.26】
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因果関係なくても法の趣旨を生かす

筆者:弁護士 開原 真弓(経営法曹会議)

事案の概要

 甲は、約30年間にわたり、主に坑夫として粉じん作業ないしこれに類する作業に従事した後、じん肺症と診断され、労働基準局長はじん肺管理区分3ロ(エックス線写真の像第3型)と決定した。その約4カ月後に右肺上葉部にがんを生じていたが、エックス線写真の像にじん肺による粒状影が極めて多数あったために、約2年7カ月を経て初めて右肺がんと診断された。手術は行われず、甲は、右決定から約3年余を経て後、肺がんによる呼吸不全のために死亡した。甲の妻(X)は、広島中央労働基準監督署長(Y)に対し遺族補償給付たる遺族補償年金及び葬祭料を請求した。Yは、甲の死亡は業務上のものではないとして不支給決定をしたため、Xは、その取消しを求めた。

判決のポイント

 裁判所は、次の理由により本件不支給処分を取り消した。

 (1) 甲のじん肺と肺がん発生との間の因果関係が認められるためには、じん肺が肺がんを発生させる病理学的なメカニズムを明らかにする必要まではないが、甲の肺がんがじん肺に起因して発生したことを通常人が確信しうる程度の立証が必要であり、単に甲の肺がんがじん肺に起因した可能性があるという程度では足りないとした上で、①現時点では疫学的に見ても、じん肺と肺がん発生との間の因果関係については、これが存在する可能性があるといいうるにとどまり、存在するとまで認めることはできない、②じん肺合併肺がんの組織型及び原発部位について特異性は認められず、甲の肺がんが右上葉部に原発した小細胞がんであることを以って、肺がん発生との因果関係を基礎づけることはできない、…

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平成9年8月18日第2165号10面 掲載

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