ドライバーが事故相手に賠償後会社へ全額請求 使用者は損害の7割負担を 信州フーズ事件(佐賀地判平27・9・11)

2018.08.09 【判決日:2015.09.11】

 業務中にトラック同士の衝突事故を起こしたドライバーが、相手方の会社に修理代38万円を支払った後、所属会社に全額負担を求めた。佐賀地裁は、賠償額の7割につき「逆求償」権を認めた。業務中で使用者にも自ずと賠償の負担部分があるとして、損害の公平な分担の見地から負担割合を決定。一方、会社が反訴請求した社有車の修理代は従業員に3割の賠償を命じた。

「逆求償」権認める 労使で公平に分担

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Y社に雇用されているXは、業務執行中、駐車場でY社所有の車両を後退させた際に、後方の確認不十分により、停車中の訴外車両に衝突させる物損事故を起こした。損害額は、訴外車両38万2299円、Y社の所有車両8万698円であった。Y社は任意の対物損害賠償保険および車両保険契約を締結しておらず、Xは、事故の相手方に賠償金として損害額全額を支払ったが、Y社の社有車に関しては支払いをしていない。

 Xは、事故の相手方に支払った賠償金について、Y社に対して求償請求の訴えを提起し、これに対し、Y社は、反訴として、Xに対し社有車にかかる損害賠償を請求した。

 原審(鳥栖簡裁判平27・4・9)は、XのY社に対する求償請求を認めるとともに、求償は、信義則上、賠償額の7割を限度とすべきであるとして、26万7609円の限度で請求を認容した。反訴請求については、Y社の損害額の3割を限度とすべきであるとして、Y社の請求のうち、2万4209円を認容した。Y社は原審判決を不服として控訴を提起した。控訴審も、原審の結論を維持した。

判決のポイント

 1 Xの求償権の存否及び範囲

 (1)被用者がその事業の執行につき第三者に対して加害行為を行ったことにより…

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掲載 : 労働新聞 平成30年8月20日第3173号14面

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