阪急バス事件(大阪地判平28・2・25) 勤続満4年が正社員登用試験の条件と慰謝料求める 「欠員対策」で期待権もなし

2016.12.05 【判決日:2016.02.25】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 契約社員だった運転手3人が、正社員登用試験の受験資格として定める勤続満4年に達した直後の試験で、受験機会を与えられなかったため慰謝料を求めた。大阪地裁は、試験は正社員の欠員補充が目的で、必要人数や経営状況等を勘案し実施していたと認定。運用上は4年で必ず受験できるとは限らず、雇用契約の内容とはいえないとした。受験の期待を生じさせる言動もなかった。

契約内容といえず 対象の選定は裁量

筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)

事案の概要

 バス運転手として雇用された原告ら3人(被告会社の契約社員であった者)は、被告が平成25年1月中旬に実施した正社員登用試験を受験する機会を与えなかったことが、被告の債務不履行または不法行為に該当するとして、慰謝料、弁護士費用等を請求した。

 原告らは、いずれも平成20年に契約社員として入社し、平成25年4月26日付けで正社員となった。原告らは、数度にわたる契約更新を経て、いずれも遅くとも平成24年末までには、契約社員としての雇用期間が満4年に達していた。

 被告の「契約社員就業規則」(平成25年4月1日改訂前のもの)には、次の定めがあった(以下、本件条文)。

 「契約社員としての雇用期間が満4年に達した者のうち、…勤務成績や健康状態等が適格とみられる者について、所属長の上申に基づき正社員への登用試験の受験資格を与える。尚、受験回数は3回を限度とする」。

判決のポイント

 本件条文には、契約社員としての雇用期間が満4年に達した者に対して「直近の」正社員登用試験の受験資格を与える旨の文言がないこと、…正社員登用試験制度の趣旨及び受験資格者の推移、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成28年12月5日第3091号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。