藍澤證券事件(東京高判平22・5・27) 正社員募集のはずが有期雇用、障害者を雇止めに… ミスを重ね改善見込めない

2010.10.04 【判決日:2010.05.27】
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 求人票とは異なる契約社員で採用された障害等級3級のうつ病患者が、雇止めは無効として地位確認等を求めた。東京高裁は、雇用契約書が優先するとしたうえで、事業者が業務遂行を支援、指導した場合、労働者も法に基づき能力向上の努力義務を負うと判示。能力に見合う業務に従事させたが、ミスを重ね改善できなかったとして行った雇止めには合理的な理由があるとした。

雇用契約書が優先 能力向上の義務が

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 Y(藍澤證券株式会社)は、平成18年4月当時、障害者が退職し、法定の障害者雇用率を下回っていた等の事情から、求人票によりハローワークを介して後任の障害者を募集した。求人票には、雇用形態(正社員)、毎月の賃金、試用期間、仕事の内容が記載されていた。Xは、安定した雇用形態の中でうつ病(障害等級3級)の治療に取り組むことができると考え、同月17日、Yの採用面接を受けた。

 Yは、面接の結果を踏まえ、Xを契約社員として内定し、同月18日、内定通知書、雇用契約書案、契約社員等就業規則等を送付した。Xの採用日(就労開始日)は、前職の引継ぎの関係から、同年5月21日(終期は同年10月31日)(以下「第1契約」)とされ、特段の異議を述べることなく、同契約書を提出した。

 Xの担当業務は郵便物回収および配達、郵便料金の支払い、名刺作成、事務用品の発注等、簡単なものであったが、第1契約の雇用期間内においては、様ざまなミスがあり、社内からの苦情が相次いだ。

 Yは、同年10月31日を過ぎ、Xとの契約を更新することとし、Xは、契約書に署名捺印をして提出した(期間は同年11月1日から同19年3月31日まで。以下「第2契約」)。Xは、契約書を提出後も、就労状況が改善しなかったため、E人事部長らは、Xに対し、同19年2月13日までには、Xとの雇用契約を更新しない旨告げた。さらに、同月28日、Xと面談し、改めて本件雇止めの予告をした。…

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平成22年10月4日第2795号14面 掲載

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