三田エンジニアリング事件(東京高判平22・4・27) 特定競業会社への転職者に退職金不支給と返還請求 営業機密開示や漏洩はなし

2010.11.01 【判決日:2010.04.27】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 退職直後に競業他社へ転職した元従業員に対してビルメン会社が退職金返還を請求。東京高裁は一審を踏襲し、競業禁止規定は、職業選択の自由を制約するもので代償措置も講じていないと判示。誓約書の内容から営業機密を開示、漏洩した場合等に限り規定を有効としたが、機械の説明書に従い行う空調機器の保守点検のノウハウは営業機密に当たらないとして棄却した。

情報の保護性低い 代償措置も講じず

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 控訴人X社(一審原告)は、空調制御機器・工業計器の計装工事、保守、空調設備の販売、設計等を業とする株式会社である。

 X社の就業規則には、原則として退職後1年間は、「会社と競合する事業を行うこと」、同じく1年間は「競業他社に就職すること」をしてはならない旨の規定や従業員が退職に当たり上記の競合事業および競業他社就職の禁止に違背した場合には、会社は退職金の不支給・減額・損害賠償として既払い分の退職金の返還請求をすることがある旨の規定が存し、また、X社の退職金規程にも同様の規定が存していた(以下、上述の規定を総称して「本件競業禁止規定」)。

 A社は、平成16年4月に設立され、X社の元取締役が平成17年4月に顧問として入社し、同年10月に代表取締役に就任した会社であり、平成19年9月現在(訴訟継続中)、全社員21人中16~17人がX社の元従業員である。

 被控訴人Y(一審被告)はX社の従業員であったが、平成18年2月28日をもってX社を退社し、X社からは同年3月16日にYに対して退職金407万9442円が支払われた。

 Yは、退社にあたり、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成22年11月1日第2799号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。