日本火災海上保険事件(東京地判平9・10・27) 期間満了後の旧協約の解雇規定もとに解雇 “余後効”が存続し有効

1998.07.27 【判決日:1997.10.27】
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労使慣行として尊重する旨の合意が

筆者:弁護士 開原 真弓(経営法曹会議)

事案の概要

 X(原告)は、大学卒業後、Y社(被告)に入社し、9年間営業に従事していたが、同僚や代理店の都合を顧みず自分の都合を優先するなど協調性に欠け、上司の注意にも耳を貸さなかった。そこで、Y社は次第に、対人折衝が少ない仕事を担当させるようになった。

 研修室に配属されたXは、代理店研修生に対する教育を担当するようになったが、講義の重点の置き方、研修生の質問に対する説明が不適切であり、それに対する上司の注意にも従わず、その後の講義内容にも改善は見られなかった。

 また、Xは、Y社の苦情処理委員会に対し、自分を副長に昇格させないのは不当であるとして「昇格異議申立書」を提出した。右申立書には、「革新的・創造的な職場達成状況を評価せず、某女子社員の讒言を鵜呑みにし、副長昇格稟申の不作為に至ったことに異議申立する」等の記載がなされていた。苦情処理委員会は、右申立てについて、「Xは……担当業務全般についての実務知識、専門知識が不十分であり、向上心に欠けているとともに、協調性に極めて乏しく、組織の一員としての自覚に欠けて」おり、「昇格稟議を起こさなかったことは妥当」との判断をなし、Xに通知した。

 部長は、Xに対し、勤務態度の反省、改善を求めるとともに、関連会社への異動を打診したところ、Xは労働条件の不利益変更を理由に難色を示した。Y社は社内でXの配属先を探したが、引き受け手はなかった。

 Y社は、以上のようなXの勤務態度及び言動等から、従業員としての適格性を欠くものと判断し、Xに対し、任意退職を勧告したが、Xはこれを拒否した。そこで、Y社は、労働組合との4回にわたる協議を経た後、Xに対し、(昭和41年に有効期間は満了していたが)旧労働協約の解雇規定(①甚だしく職務怠慢で勤務成績が不良な場合、②その他従業員として資格なきものと認められた場合)に該当するとして、解雇する旨の意思表示をするとともに、解雇予告手当49万50円及び退職金1160万円を支払う旨通知した。

 Xは、本件解雇は、昇格異議申立書の記載を解雇理由とするものであり、「嫌がらせ」や「いじめ」に端を発するものであり、また、昇格人事についての不公正さを批判するXを排除しようとするものであり、動機・手続が不当であるから、解雇は無効であると主張して、従業員としての地位の確認及び賃金の支払いを求めるとともに、右解雇が不法行為に該当するとして、慰謝料100万円の支払いを求めて訴えを提起した。

判決のポイント

 本件解雇の根拠となる期間満了後の旧協約の解雇条項の効力について、…

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平成10年7月27日第2210号12面 掲載

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