ワイケーサービス事件(福岡地裁小倉支判平21・6・11) 子会社解散は労組排除が目的と親会社に地位確認へ 別法人としての実体有する

2010.03.01 【判決日:2009.06.11】
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 運送業を営む子会社の労働組合員5人が、会社解散で解雇されたため親会社に労働契約上の地位の確認を求めた。福岡地裁小倉支部は、法人格の形骸化、もしくは親会社が同一の事業を継続するなど「偽装解散」に限り雇用関係の継続が認められるとし、子会社は別法人としての実体を有し、法人格の濫用はないとしつつ、労組排除の意図を認め不法行為による賠償を命じた。

形骸化とは認めず 不法行為で賠償を

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 被告Yは、冷凍機付きトラックによる冷凍食品等の輸送等を主たる業務とする株式会社で、Yは昭和53年頃までに、Cの全株式を買収し子会社とした。YとCは本店所在地や事業内容がほぼ同一だった。また、Cは昭和57年に貨物自動車運送事業等を目的に設立されたA株式会社の全株式を保有していた。Aの本店所在地の土地および建物はいずれもYが所有し、Aは会社設立時から賃借していた。

 Xら5人はいずれも平成12年頃にAに雇用され、X1を除くXらは、同13年1月、全N労働組合に加入し、同年3月、N北九州合同支部A分会を結成してAに結成通告を行った。

 Aは平成16年3月以降、物流センターや営業所を順次閉鎖するとともに、各業務や従業員は他社へ引き継いだ。Aは分会との団体交渉で、同年7月末日をもってAを解散し、全従業員を解雇すると説明した。同年6月24日、解雇通知書を交付し解雇の意思表示をした。X1は、本件解雇後、分会に加入して組合員となった。

 XらはYに対しAの解散および解雇は無効であり、法人格否認の法理によりYも雇用者としての責任を負うと主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等と、解雇はYとAの共同不法行為であると主張して損害賠償を請求した。…

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平成22年3月1日第2767号14面 掲載

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