東京日新学園事件(さいたま地判平成16・12・12) 学校法人の経営引継ぎ、雇用巡って労使が訴え 労働力使用する立場も継承

2005.07.11 【判決日:2004.12.12】
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 学校法人譲渡に際し不採用旧職員の団交要求を拒否、地労委への救済申立に対抗し新法人が雇用関係不存在の確認を求め、組合員も反訴した。商法上の営業譲渡に類似すると判断、雇用契約を事業と有機的一体として継承したに等しく労働保護法上の責任を負うとし、不採用を解雇権濫用、不当労働行為と認定。

採用の自由あるが 不当潜脱許されず

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、経営が破綻した訴外学校法人Bが設置運営していた専門学校の経営を、新しく設立された学校法人である原告が引き継いだ際、旧法人に専任教員として雇用されていた被告を原告が雇用(採用)しなかったことが不当労働行為に該当し、不採用行為は無効であるとして、被告が原告に対して雇用関係を主張したのに対し、原告がこれを争って、本訴として被告との間に雇用関係が存在しないことの確認を求め、被告は、これに対し反訴として原告との間の雇用関係の存在を主張するとともに、新法人における雇用開始の日からの給与及び賞与の支払、並びに不当労働行為により精神的損害を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を請求した事案である。

判決のポイント

 1、B学園から原告への権利関係の移転を、単なる個々的な財産関係・法律関係の移転と捉えるのは相当ではなく、原告は、学校経営という事業の目的のため組織化され、有機的一体として機能するB学園の財産の譲渡を受け、これにより法商学園の学校経営という事業を受け継いだものと解するのが実態に合致し、商法上の営業譲渡に類似するものということができる。そして、営業譲渡の場合、譲渡人と従業員との間の雇用関係を譲受人が承継するかどうかは、原則として、当事者の合意により自由に定めるべきものと解されるので、雇用関係を承継しないとの合意もまた可能であり、このことは、営業譲渡に類似する事業の譲渡についても同様に妥当する。

 2、事業の全部譲渡に伴い、…

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平成17年7月11日第2544号14面 掲載

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