国立大学法人乙大学事件(東京地判平23・8・9) 入試の採点ミス隠ぺい、訓告1年後にも停職命じる 追加の処分重く懲戒権濫用

2013.05.13 【判決日:2011.08.09】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 入試の採点ミスに対する訓告から約1年後、隠ぺいを理由に停職3カ月とされた中学校教諭が、二重処罰で無効と提訴。東京地裁は、両処分は対象行為が異なるとしたうえで、学校は隠ぺいを認識しながら処分追加の可能性を告知しなかったこと、自宅待機なども命じたことから、教師が訓告処分限りと信じたことに相当の理由があると認め、停職は重すぎ懲戒権濫用とした。

自宅待機も科した 二重処罰ではない

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、被告に勤務する国語教師であった原告が、平成22年5月26日付の停職3カ月の懲戒処分は、21年9月17日付の訓告処分と同一の事実を懲戒事由とするものであって、二重処分ないし信義則違反に当たり無効である旨を主張して、被告に対し、本件停職処分の無効確認並びに停職期間中の未払給与などの支払いを求めた事案である。

判決のポイント

 1 本件停職処分の対象とされた原告の行為は、…原告が、平成21年2月17日、本件入学試験における国語科の試験問題の一部につき、採点漏れがあった事実を認識しながら、これをD教諭のみに告げ、管理職等への報告を行わなかったのみならず、同日、D教諭に対し、上記採点漏れの事実について口止めをして隠ぺいした行為であるものと解される。

 本件不報告にせよ、本件隠ぺい行為にせよ、いずれも自らを含む採点者らが採点漏れというミスを犯したことを認識した上で、これを敢えて管理職等に報告しないという故意行為であって、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成25年5月13日第2920号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。