文祥堂事件(最判平7・1・24) 協定書作成拒否は不当労働行為か 合意成立とは認められない

1995.05.22 【判決日:1995.01.24】
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筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

(1)Y会社は、昭和60年5月、企業規模の縮小と合理化を内容とする再建計画を発表し、右再建計画に基づいて、大阪支店関係では、京都、神戸出張所の廃止、大阪営業所の支店への統合、大阪支店等の従業員の大幅削減等の改革案をX支部の上部組合に提示し、合計19回にわたり、X支部との間で、会社提案の実施の受け入れを交渉事項とする団体交渉をした。

(2)本件団体交渉において、X支部は、会社提案の具体的内容についての検討、討議に入る前提として、Y会社に対し、①会社財産(本社、三田工場)を維持し、大阪支店の存続と同支店従業員の同支店における雇用を保障する、②大阪支店の閉鎖、縮小とこれに伴う同支店従業員の労働条件等の変更はX支部の上部組合との事前協議事項とする、等の確約を求めた。

(3)これに対して、Y会社は、X支部の右確約の求めに応ぜず、①会社財産の維持と大阪支店の存続はY会社提案の当然の前提であるが、再建計画の成否にかかっているため現時点で確約は出来ない、②Y会社提案が実施できるなら、7年間は大阪支店を存続させ、3年間は同支店従業員の雇用を保障することとし、また、大阪地区に住居を有する従業員は大阪地区で勤務させるのを基本とする、③大阪支店の閉鎖、縮小とこれに伴う同支店従業員の労働条件等の変更を事前協議事項とすることは出来ないが、労使が一致することが望ましいので、最大限の努力をする、等の見解を表明した。

(4)しかし、両当事者間に会社提案についての成案は得られず、このためY会社は、昭和61年5月20日、本件団体交渉の打ち切りを通告した、というものである。

 以上の事実経過で、大阪地労委は、Y会社とX支部との間でその一部の事項(後述)の合意が成立したとして同内容の労働協約の締結を拒否することは不当労働行為として救済命令を発した。大阪地裁、大阪高裁とも右救済命令を取り消したため、大阪地労委が上告に及んだ。

判決のポイント

 使用者の提案に係る企業再建計画の実施の受け入れというような包括的な事柄が交渉事項となっている団体交渉において、労使間に合意が成立したというためには、…

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平成7年5月22日第2057号10面 掲載

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