労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2019.10.31 【判決日:2019.03.28】
結婚式場運営会社A事件(東京高判平31・3・28) 割増87時間分を定額払、公序良俗違反の一審は 45時間超の固定残業認める
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 約87時間分の固定残業代を、公序良俗に反し無効とした事案の控訴審。基本給15万円に対し、残業代である職能手当は約9万円だった。東京高裁は、36協定の限度基準告示を上回るが、残業を実際に義務付けるものではないと判示。告示は労働契約を補充する効力を有さず、手当に通常の労働時間の対価は含まないとしている。通常の労働時間と判別でき、差額精算の合……[続きを読む]

2019.10.24 【判決日:2018.09.14】
大島産業事件(福岡地判平30・9・14) 完全歩合給で採用、規程は固定給のみで効力は 就業規則下回る条件は無効
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  • 割増賃金
  • 周知・効力
  • 就業規則
  • 賃金

 トラックの元運転者が、賃金規程にない歩合給が適用されたとして未払割増賃金などを求めた。賃金は、路線単価に貨物の量に応じた率を乗じていた。福岡地裁は、就業規則の日給月給制と異なる条件に合意したとしても、労働者に有利でなければ無効と判断。出来高給の割増賃金は25%のみで足り、就業規則の最低基準効に反するとした。路線単価の合計額を割増基礎とし……[続きを読む]

2019.10.17 【判決日:2019.01.16】
大阪市交通局事件(大阪地判平31・1・16) 身だしなみ基準違反で考課減点され慰謝料請求 ひげで低評価は裁量を逸脱
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  • 賃金
  • 賞与

 地下鉄の運転士2人が、ひげで低評価の査定を受けたと慰謝料などを求めた。身だしなみ基準では整えた状態も不可だった。大阪地裁は、ひげは社会に広く肯定的に受け入れられておらず禁止に合理性はあるが、基準は任意の協力を求める趣旨で、不利益処分とすることは合理的な限度を超えると判断。上長の退職示唆なども含め裁量権の逸脱濫用として各22万円の支払いを……[続きを読む]

2019.10.10 【判決日:2019.03.20】
X事件(大阪地判平31・3・20) ドライバーの能率手当から残業代控除は違法か 歩合給算式不合理といえず
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  • 割増賃金
  • 賃金

 ドライバーの能率手当から残業代が控除され、割増賃金の支払いを求めた事案。手当は、荷の重量や走行距離などの出来高がベースだった。大阪地裁は、手当は割増賃金を上回る場合の超過差額であり、割増賃金とは別個独立の賃金項目で支給していたと判示。集配順序や経路は労働者に裁量があり時間短縮できるなど、時間に応じ歩合給に差を設けても不合理とはいえない。……[続きを読む]

2019.10.03 【判決日:2019.01.10】
岡山市立総合医療センター(抗告)事件(広島高裁岡山支決平31・1・10) 外科医に配転命じ診療禁止、有効とした一審は 職種限定の「黙示合意」あり
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  • 労働契約
  • 職種限定合意
  • 配転・出向

 勤続25年の外科医が、パワハラなどを理由の配転は無効として、地位確認の仮処分を求めた。一審は、配転の必要性を認めて診療できないこともやむを得ないと判断したが、高裁は、職種限定の「黙示の合意」を認定。極めて専門的で高度の技能を踏まえて雇用され、医師以外の勤務形態は予定していたとは認められず、配転無効とした。パワハラの事実も認めなかった。……[続きを読む]

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