労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2018.11.29 【判決日:2017.11.15】
コンチネンタル・オートモーティブ事件(東京高判平29・11・15) 休職満了で退職通知後に症状軽快の診断書出る 主治医に意見聴き就労困難
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  • 休職
  • 休職の終了・満了

 適応障害で休職期間が満了する1カ月前に、従業員から主治医による「要療養」の診断書が出されたため退職とした事案。退職日の2週間前には、改めて「症状軽快」の診断書を出していたことから、地位確認等を求めた。東京高裁は一審を踏襲し、会社側弁護士と面談した主治医が、本人希望で診断書を作成したと述べており、回復したと認める証拠はなく復職不可を正当と……[続きを読む]

2018.11.22 【判決日:2018.03.29】
Yユニオンほか事件(東京地判平30・3・29) 労組がHPでセクハラ告発、会社の名誉毀損? 真実性あり正当な組合活動
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  • 労働組合

 労働組合のホームページに「セクハラ発覚」「会社隠ぺい」と掲載され、会社や加害者とされた役員が、労組などに名誉毀損の損害賠償を求めた。東京地裁は、セクハラを真実と認めたうえで、HPで労組が情宣活動することは一般的で、会社見解を併記し、加害者をイニシャルで表記するなど表現の態様も相当とした。正当な組合活動として許容される範囲内と請求を斥けた……[続きを読む]

2018.11.15 【判決日:2018.05.24】
日本郵便(佐賀)事件(福岡高判平30・5・24) 正社員のみお盆や年末年始の有給認めた一審は 有期に特別休暇なし不合理
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 均等待遇

 正社員と契約社員で手当や休暇の有無に相違はあるが、すべて不合理でないとした事案の控訴審。福岡高裁は、特別休暇の相違のみ不法行為の成立を認め、賃金相当の賠償を命じた。お盆や年末年始休暇の趣旨に照らし、職務内容などの違いから相違の理由を説明できないとした。契約社員の勤務日数などに応じ、正社員の一定割合の日数を与える方法も考えられたとしている……[続きを読む]

2018.11.08 【判決日:2018.01.31】
名港陸運事件(名古屋地判平30・1・31) 復職可能の診断書、本人希望で作成と退職扱い 業務遂行できるほどに回復
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  • 休職
  • 休職の終了・満了

 がん治療による休職期間満了の退職を不当として、元運転手が地位確認を求めた。復職可能とした主治医は、会社に「本人の希望」で診断書を作成したと述べた。裁判所は、年齢や経験、産業医の意見を勘案し所定労働時間内に限り、健康時と同様に業務遂行できると判断。退職前に改めて本人と面談したり、指定医の再受診を命じなかった会社の対応は手続的相当性を欠くと……[続きを読む]

2018.11.01 【判決日:2018.02.21】
大阪市・不当労働行為事件(東京地判平30・2・21) 組合費天引き廃止通告、不当労働行為の判断は 手続的配慮欠いた支配介入 ★
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  • 労働組合

 市が、給与から組合費を天引きするチェック・オフの廃止通告を不当労働行為とした中労委命令の取消しを求めた。東京地裁は、廃止通告は手続的配慮を欠いた支配介入と判断。不適切な労使関係の払拭という目的に合理性はあるが、通告から協定期間満了まで1カ月強の状況は協議を尽くす姿勢とはいえず、廃止まで1年の猶予期間の設定も十分吟味したとはいえないとした……[続きを読む]

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