労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2017.05.31 【判決日:2016.07.19】
クレディ・スイス証券事件(東京地判平28・7・19) セクハラや競業理由に諭旨退職要求も拒否され解雇 注意指導なく処分重すぎる
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  • 懲戒・懲戒解雇
  • 懲戒権の濫用

 セクハラや競業を理由に諭旨退職を求めたが、拒否されたため懲戒解雇したところ地位確認等を求められた。東京地裁は、注意指導をせず極めて重い処分をしたことは社会通念上相当性を欠くと判断。懲戒事由に該当するが、2年間セクハラ被害の申告はなくこの間「親しげ」だったとして嫌悪感や精神的苦痛は割り引くのが相当とした。降職とする選択肢もあるとした。 懲……[続きを読む]

2017.05.24 【判決日:2016.07.04】
フジビグループ分会組合員ら事件(東京高判平28・7・4) 子会社労組のビラ配布で取引減、親会社が損害賠償請求 組合員個人の不法行為成立
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  • 労働組合

 倒産した子会社の労組に抗議された親会社が、取引減など損害が生じたとして、組合員に賠償を求めた。ビラの表現は社会的評価を低下させるとした一審に対し、二審はさらに取引先への文書送付は信用棄損の程度が甚だしいと判断。不法行為で350万円の支払いを命じた。労使関係にない第三者への団体行動も憲法の保障対象だが、正当な行動の範疇を超えるとした。 信……[続きを読む]

2017.05.23 【判決日:2015.03.13】
プロポライフ事件(東京地判平27・3・13) 賃金総額同じまま一部固定残業代にする条件変更は 基本給に割増組入れ認めず
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  • 割増賃金
  • 賃金

 基本給35万円のうち約12万円を固定残業代とする労働条件の変更は無効として、退職後に未払割増賃金を求めた。1年半で6回にわたり賃金項目や額が変更された事案。東京地裁は、契約書の署名押印は自由な意思に基づくものとはいえないとした。残業代の基礎を減らす目的で合理性はなく、明確に説明した事実もないとしている。割増賃金に加え半額の付加金を認容。……[続きを読む]

2017.05.01 【判決日:2016.09.28】
トヨタ自動車ほか事件(名古屋高判平28・9・28) 定年後も事務職を希望、「基準」満たさず清掃業務に 別職種での継続雇用は不可
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  • 定年・再雇用
  • 退職

 定年後継続雇用で事務職の選定基準を満たさず清掃業務とされたため退職した者が、地位確認等を求めた。基準は相当として請求を棄却した一審に対し二審は、労働条件の提示に裁量はあるが、適格性を欠くなど解雇相当の事情がない限り、まるで別の職種は許されないと判断。賃金は年金の85%で低額とはいえないが、到底受け入れ難い業務として慰謝料を一部認めた。……[続きを読む]

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