労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2016.11.28 【判決日:2016.05.19】
ヤマダ電機事件(前橋地裁高崎支判平28・5・19) うつ病自殺で労災認定されると安全配慮義務違反? 残業100時時間超えず関連否定
ジャンル:
  • 労災
  • 安全配慮義務

 月100時間を超える残業等からうつ病を発症し自殺したとして労災認定され、遺族が安全配慮義務違反の損害賠償を求めた。前橋地裁高崎支部は、直近の残業を月94時間と認定したうえで、医学的知見からは長時間労働と精神疾患発症の関連性は示されておらず、時間のみで強い負荷とはいえないと判断。その他負荷は認められず、うつ病を発症したとは認められない。……[続きを読む]

2016.11.21 【判決日:2016.02.17】
厚生年金事業振興団事件(東京高判平28・2・17) 病院経営を新機構に移行、院長不採用で整理解雇? 事業廃止からやむを得ない
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  • 企業解散
  • 解雇

 厚年病院の経営を委託されていた法人が契約終了に伴い院長を解雇した事案。法改正で設立された新機構が運営を引き継ぎ、職員も全員雇用されるなど、院長は整理解雇の4要件を満たさず無効と訴えた。東京高裁は、法人が存続しつつ人員削減する整理解雇とは前提が異なり、雇用契約は当然に承継されず選考による結果とした。解雇権濫用もなく、事業廃止の解雇は有効。……[続きを読む]

2016.11.14 【判決日:2015.12.24】
富士運輸事件(東京高判平27・12・24) 運行コース別に手当支給、労基法の時間外見合い? 法定割増上回り未払いなし
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  • 割増賃金
  • 賃金

 トラックの運行コース別に走行距離等で決まる手当が、労基法の割増賃金に当たるか争った事案の控訴審。東京高裁は、額は変動し固定残業代に当たらないとしたうえで、デジタコの記録等から法定の割増賃金との多寡を確認でき、支給額は法を上回るなど法趣旨に反しないとした。100時間の残業代に相当し問題となる可能性はあるが、未払額の判断には影響を及ぼさない……[続きを読む]

2016.11.07 【判決日:2016.02.26】
野村證券事件(東京地判平28・2・26) 情報漏洩でインサイダー報道、証券マンを懲戒解雇 注意や指導なく処分重すぎ
ジャンル:
  • 守秘義務違反
  • 懲戒・懲戒解雇

 未公表の株式情報を社外に伝えたとして懲戒解雇された証券マンが地位確認等を求めた。証券取引等監視委員会からインサイダー取引の勧告を受け報道されたこと、情報漏洩の2つの懲戒事由について東京地裁は、情報伝達に関して事実関係から法の禁止行為に該当しないうえ、漏洩に当たる電話の会話を注意指導せず、弁解の機会も与えていないなど懲戒権の濫用とした。……[続きを読む]

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