労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2015.03.23 【判決日:2013.09.05】
三重県・県教委事件(名古屋高判平25・9・5) 管理職が酒気帯びで逮捕、退職手当不支給は違法? 指導監督の立場で責任重い
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  • 懲戒・懲戒解雇
  • 賃金
  • 退職金
  • 飲酒行為

 公立高校の管理職員が、年休の取得日に飲酒運転で逮捕され、懲戒免職に伴い約2500万円の退職手当を全額不支給とされたため処分取消を求めた。一審は不支給のみ違法としたが、名古屋高裁は法違反の3倍の高濃度で悪質なこと、指導体制に悪影響を及ぼす可能性があり責任は重いと判断。飲酒運転撲滅に向けた社会秩序維持の強い要請に反し、不支給は適法とした。……[続きを読む]

2015.03.16 【判決日:2013.12.02】
学校法人専修大学(専大北海道短大)事件(札幌地判平25・12・2) 学生募集を停止した地方短大で教員8人を整理解雇 “4要素”すべて充足し有効
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  • 整理解雇
  • 解雇

 短大の教員ら8人が、学生の募集停止など経営難から整理解雇され無効と訴えた。札幌地裁は人員削減の必要性を認めたうえで、異動例はなく就業場所は限定され、系列校の人員増加の決定権もないことから他行での採用も不可能なことを考慮すると、退職優遇制度を講じる等解雇回避努力を尽くしたと判断。候補者選定や手続きも評価でき、4要素を満たし解雇有効とした。……[続きを読む]

2015.03.09 【判決日:2014.07.18】
医療法人稲門会事件(大阪高判平26・7・18) 育休3カ月取得で翌年度の昇給見送る措置は妥当か 不利益取扱いに当たり無効
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  • 均等待遇
  • 女性
  • 昇給昇格・降格

 育休を3カ月以上取ると翌年度の職能給を昇給させない就業規則は無効として、男性看護師が病院に慰謝料などを求めた控訴審。一審は違法性を否定したが、大阪高裁は、年休や労災の休業が3か月に及んでも昇給の対象外にならず、育休だけ不利益に扱う合理的理由はないとした。規定は育休取得の権利を抑制し無効で、昇給した場合の賃金額との差額相当の支払いを命じた……[続きを読む]

2015.03.02 【判決日:2014.02.20】
北海道大学事件(札幌高判平26・2・20) 非正規は最長3年まで、1年延長して雇止め効力は 雇用継続の合理的期待なし
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 契約職員は3年雇用の方針を採るなか、特別に1年延長した職員を雇止めしたところ、地位確認等を求められた。一審は請求を棄却し、札幌高裁は更新は非常に難しいと伝え更新は願望にとどまるとして、雇用継続の合理的期待を有さないと認定。契約形態を変え8年半の雇用的機関があるが、助成金頼みの不安定な業務であることを本人も認識し、判断に影響は及ばない。……[続きを読む]

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