アーク証券事件(東京地決平8・12・11) 職務内容変えずに職能給の大幅減額は? 明確な根拠規定が必要

1997.05.12 【判決日:1996.12.11】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

職務内容の変更を伴う降格ならば別

筆者:弁護士 中山 慈夫(経営法曹会議)

事案の概要

 会社では、職能資格等級に基づき職能給(基本給)を決定していたところ、平成4年5月以降、勤務成績不振の営業社員Xらに対して、ほぼ毎年資格等級を引き下げ減給してきた。

 また、会社はこの間、給与システム(就業規則)を改定して諸手当等を減額する措置をとったため、Xらは平成8年には平成4年4月当時の給与と比べ月額30万円を超える減額となった。

 本件は、Xらが右の降格・減給は無効であるとして、差額賃金の仮払等を求めた仮処分事件であり、本決定は会社の降格・減給措置を無効としたものである。

決定のポイント

 1 使用者が、従業員の職能資格や等級を見直し、能力以上に格付けされていると認められる者の資格・等級を一方的に引き下げる措置を実施するにあたっては、就業規則等における職能資格制度の定めにおいて、資格等級の見直しによる降格・減給の可能性が予定され、使用者にその権限が根拠づけられていることが必要である。

 しかるに会社においては、平成6年3月まで就業規則等の根拠がないにもかかわらず、Xらの格付を引き下げてその職能給を減給しているのであるから、その間の取り扱いは無効である。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成9年5月12日第2152号10面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。