化学メーカーC社事件(東京地判平30・7・2) 有機溶剤で化学物質過敏症を発症と賠償求める 濃度測定せず安配義務違反

2019.07.04 【判決日:2018.07.02】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 有機溶剤が発散する環境で化学物質過敏症を発症したとして、損害賠償等を求めた。東京地裁は、作業環境測定は安全配慮義務の内容に含むと判断。濃度を測定して保護具を支給等すれば、ばく露を回避できたと推認し、発症との相当因果関係を認めた。安衛法や有機則の公法的規制が直ちに安全配慮義務の内容になるとはいえず、規制の趣旨や具体的状況で判断するとしている。

保護具支給も怠る ばく露回避できた

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 本件は、Yの従業員として化学物質を取り扱う検査分析業務に従事していたXが、Yに対し、有機溶剤等が発散する劣悪な就労環境で検査分析業務を強いられたことで、有機溶剤中毒および化学物質過敏症に罹患し、その後も就労環境の改善を繰り返し求めたが聞き入れられず、最終的には退社を余儀なくされたなどとして、雇用契約上の安全配慮義務違反を理由とする債務不履行または不法行為に基づき、治療費、逸失利益および慰謝料等の損害賠償等の支払いを求めた事案である。

 本判決は、Xの請求を一部認めた。本件の争点は、多岐に亘るが、①Xの症状と業務との間の因果関係の有無、②Yの安全配慮義務違反の有無について紹介する。

判決のポイント

 因果関係の有無

 Xは、本件検査分析業務に従事する過程で、長期間にわたって、相当多量のクロロホルムやノルマルヘキサン等の有機溶剤に曝露されていたことが認められる。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
令和元年7月8日第3216号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。