NHK盛岡放送局事件(盛岡高判平16・9・29) 委託契約解約で集金人が労働契約上の権利主張 使用従属と相容れない実態

2005.03.07 【判決日:2004.09.29】
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 NHKの放送受信料を委託契約で徴収していた集金人が、成績不振を理由に契約を解約されたため、労働契約上の権利を主張した控訴審で、業務遂行方法、就業場所、報酬などを検証し、就業規則が適用されないなど使用従属関係とは相容れない実態と認定、一審(盛岡地判平15・12・26)判断を支持した。

就業規則は非適用 委任と請負混合型

筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)

事案の概要

 Xら2人の控訴人らは、被控訴人NHKとの間の平成13年3月5日付「新規委託契約」に基づきNHKの放送受信料の集金および放送受信契約取次等の業務を行っていたところ、NHKがXらに対し、業績不振を理由に平成13年9月30日をもって同契約を解約する旨の通知を行い、同日以降契約を継続しなかったため、XらがNHKに対し、NHKとの間の労働契約上の権利を有する地位の確認等を求めた。

 一審は、Xらの請求をすべて棄却し、Xらが控訴した。

判決のポイント

 本件契約が労働契約としての性質を有しているかどうかは、本件契約の内容を実態に即して合理的に解釈した場合、契約当事者間に指揮監督を中核とする使用従属関係が認められるか否かによって判断するのが相当である。この場合、形式的な文言も重要であるが、それのみによって判断するものでないことは当然である。このように合理的に解釈される契約内容に基づき当事者間にどのような権利義務が発生するのかを検討することになる。

 …控訴人らを含めた受託者には労働関係を規律する根本規範ともいうべき就業規則が適用されることはないこと…業務遂行についての時間、場所、方法等は受託者の自由裁量にゆだねられ、例えば、ある特定の日に業務を遂行するか否か、どの程度長時間の業務を行い、どのように休息を取るかについても受託者の自由であり、また、就業場所も、受信料の収納地区が限定されている点を除いて特段の制約はなく、…

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平成17年3月7日第2527号14面 掲載

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