関東保温工業ほか1社事件(東京地判平16・9・16) 石綿粉じんにより悪性中皮腫で死亡と賠償請求 健康害する予見可能性ある

2005.06.27 【判決日:2004.09.16】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 悪性中皮腫で死亡したのは勤務先の安全配慮義務違反による長期間の石綿粉じん吸入が原因として、転職先と併せて損害賠償を求めた。現場監督業務で健康を害する予見可能性を会社は有し、代替品使用など安全配慮・注意義務違反を認定し請求を容認。ただし転職先でのばく露はないとして請求を棄却した。

万全の措置が必要 安全配慮尽くさず

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 労働者Aは、昭和38年3月、東京都内の高校を卒業し甲社(関西保温工業㈱)に入社、同59年4月に甲社を退職後、乙社(㈱井上冷熱)に入社、平成8年8月11日死亡退職となった。

 Aは、平成7年11月頃から、胸痛、咳、微熱等の症状が出て痩せ始め、平成8年、国立がんセンター東病院より悪性胸膜中皮腫に罹患していると診断された。Aは、同年6月、同病院に入院、一旦退院したものの病状が急速に進行、8月1日再入院したが同月11日、死亡した。

 中央労働基準監督署長は、Aの遺族の請求に基づき、平成11年11月、Aの死亡は業務上の死亡と認定、遺族補償年金、遺族特別年金等の支給を決定した。

 Aが勤務していた甲社は保温・保冷工事などを、乙社も冷蔵庫およびタンクの保冷工事の設計・施工などをそれぞれ業務内容としていた。

 Aの遺族は、甲・乙社が取り扱っている石綿(アスベスト)を吸入したため、Aは悪性中皮腫に罹患して死亡したとして債務不履行または不法行為による損害賠償を求めたもので、本判決は、甲社の責任を認め約5700万円余の支払いを命じたが、乙社の責任は認めなかった。

判決のポイント

(1)因果関係の存在

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成17年6月27日第2542号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。