大塚製薬事件(東京地判平16・9・28) 錯誤を理由に転籍・退職の意思表示無効を主張 任意による選択として棄却

2005.07.04 【判決日:2004.09.28】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 退職金割増の条件で営業譲渡先への転籍や合意退職した従業員のうち3人が、錯誤による意思表示を理由にその無効を主張し地位確認などを求めた事案で、残留の選択肢を示されなかったとしても提示条件を検討後、任意に選択したもので、二者択一での同意の表明もされていないとして訴えを斥けた。

条件検討後の決定 残留説明なくても

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Xらは、徳島において募集・採用されY社の業務に従事していたが、Y社はXらの所属する部門について訴外M社に営業譲渡することにした。Y社では、従業員には転籍をしてもらいたいと考えたが、就労場所が埼玉県になること、労働条件が相違することから、転籍に際しては割増退職金(自己都合退職の場合の通常額に基本給の33カ月分を加算)と転籍後2年間の年収差額見込額を払うものとし、また、仮に転籍せずに退職する場合にも、会社都合退職金と基本給30か月分の割増金および1年間の再就職支援を行うこととした。

 Y社は、原則2回の個人面談を実施して、退職金割増の額なども具体的に示し、Xらは、それぞれ退職または転籍の選択をした。しかしその後、Xらは、転籍または退職以外の選択肢はあり得ないと誤信して退職・転籍の意思表示をしたものであるとして、錯誤による無効、予備的に詐欺による取消を主張し、地位確認および退職後の賃金の支払いを求めて提訴した。

判決のポイント

1 Y社の対応についての事実認定

 Y社では転籍に同意しない者を他の部門に配転し、または関連会社に出向させる等の措置を講じることは考えておらず、事業譲渡について説明をした際にも、転籍または退職の選択を提案するにとどまった。その後の個人面談においても、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成17年7月4日第2543号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。