明徳学園事件(京都地判令7・2・13) 基本給に差あり不合理、非正規講師が賠償請求 年齢給の相違が不法行為に
年齢昇給を5年目までとされた有期雇用の常勤講師が、無期雇用の専任教員との賃金格差を不合理として損害賠償を求めた。京都地裁は、年齢給の性質や支給目的は常勤講師にも当てはまると判断。職種限定の合意は認められず、賃金差を設けるほどの職務内容等の相違はないとした。事務職への配転は有効だが、無期転換後の賃金格差も不法行為を構成するとしている。
事務職配転は有効 職種限定を認めず
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、平成22年4月1日から令和4年3月31日まで本件高校の常勤講師として被告に雇用されていたが、同年4月1日付で常勤嘱託という事務職員への配置転換命令を受けた。原告の請求は、次の3つである。
(1)(主位的請求)原告と被告間には原告の職種および業務内容を教育職員に限定する合意(本件職種限定合意)が成立していたとして、常勤講師としての地位の確認請求。
(2)(予備的請求)仮に右合意が認められないとしても、本件配転命令は違法であるとして、常勤嘱託としての勤務義務がないことの確認請求。
(3)専任教員と常勤講師(有期労働者)との賃金差は、合理的な根拠のない差別であるとして、不法行為に基づく損害賠償請求。
判決のポイント
本件高校では、教育職員として採用された場合には事務職員に配置転換される可能性があることが前提とされていたところ、原告が採用される際には、原告と被告間で原告の職種を教育職員に限定することを協議した事実も認められないから…、…
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