日本郵便(経過措置)事件(大阪地判令6・6・20) 住居手当廃止し経過措置、有期社員にも支給? 正社員の不利益緩和が目的
2025.08.28
【判決日:2024.06.20】
正社員の住居手当廃止に伴い、経過措置として設けられた手当について、期間雇用社員が支給を求めた。大阪地裁は、手当は正社員の経済上の不利益を緩和する目的で支給するものであり、住居手当としての性質を有しないとした。別件訴訟で住居手当の相違が不合理と判断されたが、期間雇用社員が住居手当の支給を受けていたのと同一の法的地位に立つわけではないとした。
趣旨や性質で判断 不合理とはいえず
筆者:弁護士 野口 大(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、被告の期間雇用社員である原告らが、被告の正社員(無期雇用)には住居手当廃止に伴う経過措置に基づく手当(9年6カ月間にわたって年度ごとに支給額を漸減させる手当)が支給されるのに対し、原告らに対して支給されないのは、改正前の労働契約法20条(令和2年3月31日以前に係るもの)および改正後のパート・有期雇用労働法8条(令和2年4月1日以降に係るもの)に違反する旨を主張して、不法行為に基づき、同手当支給額と同額の損害賠償等を求めた事案である。
判決のポイント
1 正社員(新一般職)と期間雇用社員との本件手当の支給に係る労働条件の相違が…不合理と認められるものであるかを判断するに当たっては、…
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令和7年9月1日第3511号14面 掲載