懲戒免職処分取消等請求事件(最一小判令7・4・17) 市バス運賃を着服、懲戒免職で退職手当ゼロ? 不支給でも裁量権逸脱否定 ★

2025.07.03 【判決日:2025.04.17】
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 市営バスの運賃1000円を着服し、運転席で電子たばこを複数回使用したとして懲戒免職となった運転手が、退職手当不支給処分の取消しを求めた事案の上告審。最高裁は、被害弁償が行われたことや懲戒処分がないことを斟酌しても、不支給処分が裁量権の範囲を逸脱した違法なものとはいえないと判断。事業の信頼を大きく損なったほか、着服を否認した態度は不誠実とした。

事業の信頼損なう 態度誠実といえず

筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)

事案の概要

 被上告人は、平成5年3月頃、京都市交通局の職員として採用され、バス運転手として勤務していた。被上告人は、令和4年2月の勤務中、乗客から5人分の運賃合計1150円の支払いを受けた際、硬貨を運賃箱に入れさせ、千円札1枚を手で受け取り、これを着服した。京都市交通局は、バスの車内における電子たばこの使用を禁止していたところ、被上告人は、令和4年2月の乗務に際して、乗客のいない停車中のバスの運転席において、合計5回電子たばこを使用した。

 管理者は、バスのドライブレコーダーにより運転手の業務状況を点検した際、これらの非違行為を把握した。被上告人は、上司との面談において、喫煙類似行為は認めたが、着服行為については、当初否定し、上司の指摘を受けてこれを認めるに至った。

 管理者は、令和4年3月、被上告人を懲戒免職処分にしたうえで、一般の退職手当等1211万余円の全部を不支給とする全部支給制限処分をした。

 京都市公営企業に従事する職員の給与の種類および基準に関する条例は、6月以上勤務した職員が退職した場合は、退職手当を支給するが、不都合な行為があった場合は退職手当を支給しないことがある旨を規定していた。

判決のポイント

 本件規定は、懲戒免職処分を受けた退職者の一般の退職手当等について、…

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令和7年7月14日第3504号14面 掲載
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