日本硝子産業事件(静岡地判令6・10・31) 最低賃金の「試し勤務」せず休職満了で退職扱い 復職時に会社への協力怠る
休職から復職する際、最低賃金の試し勤務を拒否した執行役員が、復職を認められず違法等と訴えた。静岡地裁は、会社が治ゆを認定できるよう労働者は協力義務を負うとした。出勤を命じる必要性等を認めたうえ、賃金の協議に会社は応じる意向だったとして、会社の提案を理由とした出勤拒否は正当化できないとした。なお、管理監督者と認めて割増賃金請求も退けた。
治ゆ認定には必要 拒否正当化できず
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
甲は、平成元年3月に大学を卒業後、合計10社の転職歴があったが、会社との間で、令和2年7月、所属職位を品質保証室執行役員医薬品担当部長、年収812万8500円と合意して、期間の定めのない労働契約を締結した。
甲は、メニエール病にり患していることを理由に、会社から、令和3年9月3日、自宅待機および在宅勤務を命じるという通知を受けた。甲は、会社に対し、同月29日、抗うつ状態により2カ月間の自宅療養を要するとの記載のある診断書、10月8日には、末梢性めまい症により、12月31日まで自宅での安静および加療を要するとの記載のある診断書を提出した。
会社は、就業規則に基づき、10月18日から翌年1月16日まで休職とした。その後、休職期間は順次延長された。
甲は、4年3月8日、会社から復職に当たり、試し勤務をするように求められ、その内容等について会社と協議したものの、自らの要望が受け入れられない限り、試し勤務には応じられないとして、拒否した。その後、甲は、7月27日、休職中に復職できなかったことを理由として、就業規則に基づき退職となったという通知を受けた。
本件訴訟の主な争点は、甲が(1)労基法41条2号の管理監督者といえるか否か、(2)休職期間経過前に復職させなかったことが違法か等である。
判決のポイント
(1)労基法41条2号の趣旨は、管理監督者が…
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