片山組事件(最一小判平10・4・9) 私傷病の自宅治療命令に職種変更就労の要求 包括契約なら他業務の検討を ★

1998.06.01 【判決日:1998.04.09】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

部分的労務提供でも受領すべき

筆者:弁護士 安西 愈

事案の概要

 上告人(労働者)は、建設会社(被上告人)の工事現場監督業務に従事していたが、バセドウ病に罹患、治療を受けるようになった。このため会社に対して、現場作業に従事することはできない旨と、残業は午後5時から6時までの1時間に限り、日曜および休日の勤務は不可能である旨を申出た。本人を執行委員長とする建築一般全日自労K組分会も、同様の要求をした。

 会社が提出を求めた診断書には、「内服薬にて治療中であり、今後厳重な経過観察を要する」と記載されており、補足説明には、「疲労が激しく、心臓動悸、発汗、不眠、下痢等を伴い、抑制剤の副作用による貧血等も症状として発生している。未だ暫く治療を要する」旨が記載されていた。

 そこで会社は、当分の間自宅で治療すべき旨の命令を発した。これに対し上告人は、事務作業はできるとして、主治医作成の診断書を提出したが、これには、「重労働は控え、デスクワーク程度の労働が適切と考えられる」と記載されていた。会社は右診断書にも上告人が現場監督業務に従事しうる旨の記載がないことから、自宅治療命令(無給)を維持した。

 その後、本人から賃金仮払いを求める仮処分が申立てられ、その審尋で主治医は、スポーツも正常人と同様にでき、仕事に支障ない状態との意見を述べたため、会社は現場監督業務に従事すべき旨の業務命令を発令し、本人も従事した。

 この間(平成3年10月1日から平成4年2月5日まで)の賃金支払義務が争われた。

判決のポイント

 本件第一審判決は、本人の主張を認めて賃金の支払いを命じたが、第二審は…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成10年6月1日第2203号12面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。