日本郵便事件(名古屋地判令6・8・8) 通勤中に電車内で盗撮して逮捕、懲戒解雇は? 迷惑行為 県条例違反の解雇無効
2025.05.01
【判決日:2024.08.08】
通勤中の電車内で盗撮行為をして県の迷惑行為防止条例違反により逮捕され、懲戒解雇された課長が地位確認等を求めた。名古屋地裁は、会社の業務や社会的な評価に及ぼす影響は、刑事事件で有罪になった場合と比べて低いなどとして、処分無効とした。被害者と示談して不起訴になったほか、事件について報道されず、過去に処分歴がなかったことも考慮した。
示談受け不起訴に 報道なく影響低い
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、令和5年7月、通勤途上、名古屋市営地下鉄の電車内において、小型カメラを録画状態にしてリュックサック内に設置し、口を開いたリュックサックを足元に置いて、被害者のスカート内を撮影しようとして、愛知県迷惑行為防止条例違反により逮捕され、翌日釈放された。同月、原告が被害者に被害弁償し、被害者が被害届を取り下げる内容の示談が成立した。
被告会社は、9月、原告を懲戒解雇し、退職手当は3割を支給することとした。
名古屋地方検察庁の副検事は、11月、愛知県迷惑行為防止条例違反被疑事件について不起訴処分とした。本件行為および本件行為に関する刑事手続きについて報道されたことはなかった。
原告は、懲戒解雇が無効であるとして、労働契約上の地位確認、賃金等の支払いを求めて訴訟を提起した。
判決のポイント
職務遂行と直接関係のない…私生活上の非行であっても、…
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令和7年5月12日第3496号14面 掲載