中央タクシー事件(徳島地判平9・6・6) 女子社員解雇批判ビラを配布した委員長を解雇 正当な組合活動で無効

1998.06.15 【判決日:1997.06.06】
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不利益でも事実の公表は受忍すべき

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 Y社(タクシー営業)の労働組合(以下「組合」)は、組合に所属するY社の女子従業員が、幹部職員からセクハラ行為の被害を受けたとして抗議したところ、逆にY社から正当な理由もなく解雇されたとして、Y社を相手に従業員地位保全の仮処分を申立て(以下「別件仮処分」)、この事件は、翌日の地元新聞やテレビで大きく報道された。

 組合は、別件仮処分を支援するとともに、裁判外でも右女子従業員の解雇撤回を求める運動を開始することを決定し、その一環として組合委員長のXが責任者となり、Y社による女子従業員の解雇を批判する内容のビラ(以下「本件ビラ」)を作成し、Xと組合員数名が、T駅前で1時間ないし2時間の間に約500枚配布した。

 Y社は、ビラの内容が不用意な流言飛語で、Y社やY社代表者個人を誹謗中傷するものであったり、またXのY社に関するこれまでの一連の言動がY社の信用を失墜させその事業遂行を妨げるものであったとして、Xを普通解雇した。

 Xは、これを不服として、裁判所に対しY社を相手方として地位保全および賃金仮払請求の仮処分を申請した。

判決のポイント

 本件ビラは、「セクハラに抗議した女性3人を解雇」「Y社グループは不当解雇を撤回せよ」と大文字で見出しを付け、「1月31日、Y社グループの無線配車に従事する女性が男性管理職にセクハラをうけ、それを抗議した本人と女性上司、同僚の3名が会社に解雇されました。『こんな理不尽は許せない』と2月14日、T地裁に地位保全の仮処分を申し立ててたたかっています」と別件仮処分に至った経緯を詳しく記載していることのほか、…

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平成10年6月15日第2205号12面 掲載

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