労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2019.08.29 【判決日:2019.03.14】
あんしん財団事件(東京高判平31・3・14) 営業成績低く配転に、家庭の事情聴かず違法? 転勤命令 著しい不利益の判断覆す
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  • 配転・出向

 転居を伴う配転の発令前に家族の事情を聴取せず、人事権濫用とした一審の控訴審。一審は、営業成績が低迷し環境を変える必要性はあるが、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負うとした。配転はその後撤回され、高裁は内示の違法性を判断。内示により配転を受けるかを検討でき、仮に上司らへ拒否理由を示せば配慮された可能性もあったと認め、慰謝料を命じた……[続きを読む]

2019.08.22 【判決日:2018.11.22】
Y社事件(横浜地裁川崎支判平30・11・22) ミスの言い争いから殴られ障害負い賠償求める  私的なケンカ会社責任なし
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  • 労働契約上の権利義務
  • 安全配慮義務
  • 損害賠償

 介護事業所内のケンカで障害を負ったオペレーターが、加害者の訪問介護員と会社に損害賠償を求めた。ミスの責任をめぐる言い争いから暴行に発展した。裁判所は、被害者の担当業務に注意指導は含まれず、事業執行と密接な関連はないとして使用者責任を否定。嫌悪感の衝突などが原因とした。会社に予見可能性はなく安全配慮義務も負わないが、加害者には過失3割とし……[続きを読む]

2019.08.08 【判決日:2018.11.29】
産業医科大学事件(福岡高判平30・11・29) 30年以上働き基本給は正社員の半分“不合理”か 業務類似の時期あり賠償を
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 均等待遇

 30年以上事務系業務に従事する臨時職員が、正職員の基本給と2倍近い差があるのは不合理として賠償を求めた。福岡高裁は、職務の内容等に違いはあるが、長期雇用は採用時予定していなかった事情で考慮すべきと判断。正職員が主任として管理業務に昇格する前の業務を、臨時職員の「類似業務」として、基本給3万円の差を不合理とした。団交で賃金を引き上げたが判……[続きを読む]

2019.08.01 【判決日:2018.12.13】
日本郵便(東京)事件(東京高判平30・12・13) 手当なしは不合理、損害額は「正社員の6割」? 住居手当など全額賠償命ず
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 均等待遇

 契約社員に住居手当がないのは不合理として、正社員の6割相当額の賠償等を命じた事案の控訴審。高裁は、比較した新一般職と職務の内容等に相違はあるが転居を伴う異動はともに予定されていないとして、住居手当全額の賠償を命じた。病気休暇を正社員は有給、契約社員は無給としたことも不合理で、休暇の代わりに取得した年休の賃金相当額を損害額とした。賞与等の……[続きを読む]

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