労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2017.01.30 【判決日:2016.04.19】
ツクイほか事件(福岡地裁小倉支判平28・4・19) 妊娠後の業務軽減要求を放置されマタハラと訴える 妊婦への健康配慮義務違反
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  • 均等待遇
  • 女性

 妊娠した介護職員が、業務軽減を求めた面談における上司の発言やその後配慮がなされずマタハラとして慰謝料を求めた。福岡地裁小倉支部は、面談で上司が業務態度の改善指導に終始したことは配慮不足で人格権侵害としたほか、面談から1カ月経っても対応をせず健康配慮義務に違反するとした。会社も就業環境の整備義務に違反し、連帯して35万円の賠償を命じた。……[続きを読む]

2017.01.23 【判決日:2016.05.31】
ファイザー事件(東京地判平28・5・31) 管理職に降格規定を新設、一般職とされ差額求める 既得権是正でき合理的変更
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  • 昇給昇格・降格

 管理職が就業規則の降格規定新設に伴い一般社員とされたため、減額部分の支払等を求めた。東京地裁は制度の必要性について、職務遂行状況と無関係な既得権が是正でき、一般社員には昇格機会の付与など意欲向上につながるほか、厳しい経営状況などから合理性を認容。非組と交渉がなくても不当とはいえないとした。評価は最低で年収比10%減も大きいとはいえない。……[続きを読む]

2017.01.16 【判決日:2016.02.22】
国立精神・神経医療研究センターほか事件(東京地判平28・2・22) 年俸制導入で賃金減、業績や貢献度不当と差額請求 評価に裁量の逸脱濫用なし
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  • 賃金
  • 賃金請求権

 年俸制導入に伴う業績評価の方法や結果が不当として、研究室長が差額賃金を求めた。東京地裁は、評価で論文発表を重視したり、数年かかる研究も単年評価される点につき、いかなる要素を業績、貢献度の判断基準にするかは裁量があり、目標達成度や成果から評価に裁量権の逸脱濫用はないと判断。結果は非公表だが公正・適正な人事評価に不可欠とはいい難いとした。……[続きを読む]

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