北海道コカ・コーラボトリング事件(札幌地決平9・7・23) 病弱者のいる労働者に転居伴う転勤命令は 甘受すべき程度を超える

1997.12.29 【判決日:1997.07.23】
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他者でも支障なく 人選の誤りと判断

筆者:弁護士 畑 守人(経営法曹会議)

事案の概要

 債務者は北海道内で飲料製造業を営んでいるが、業界の競争激化により利益率が低下したことから、旭川工場を閉鎖し札幌市の本社工場に統合することを決め、帯広工場を含めた人員再配置を実施することにした。これに伴いブレンド担当の債権者ら4名を帯広工場から本社工場への異動対象者として選出し、平成9年1月に転勤を内示したところ、それまで家族の健康状態は「普通」と申告していた債権者が、家族の健康状態が悪く転勤に応じるか否かは即答できないと返答してきた。

 その後、債務者は、債権者の所属する労働組合との団体交渉の中で、学校、社宅、病院等について会社として配慮すること、単身赴任になる場合には、有給休暇の取得等によって帰省ができるよう配慮することなどを説明、平成9年3月7日、同月17日までに本社工場に転勤するよう通告した。債権者は、当初転勤命令に従わないでいたが、同年4月28日ころ、これ以上転勤命令を拒否し続けると、懲戒解雇等のより重大な不利益を被るおそれがあると判断し、本社工場に赴任した。

 債権者は、本件転勤命令が人事権の濫用などで無効であると主張し、本件転勤命令を拒否した場合には、懲戒解雇などの不利益処分を受けるおそれがあり、懲戒処分を回避するために札幌で勤務した場合には、債権者の家族関係が崩壊するおそれがあるとして、帯広工場を勤務場所とする労働契約上の地位を仮に定める仮処分を申請し、札幌地裁はこれを認めた。

決定のポイント

 債権者は、妻、長女、二女と同居しているところ、…

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平成9年12月29日第2182号10面 掲載

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