名古屋鉄道事件(名古屋高判平26・2・13) 出向経理マンが横領、補償条項基に「元」へ賠償請求 “帰責性”は両者同じと判断

2015.10.05 【判決日:2014.02.13】
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 経理担当で受け入れた出向者が横領したとして、出向契約の補償条項に基づき、「先」が「元」に損害賠償を求めた。出向元に一部賠償を命じた一審を不服として双方が控訴した。名古屋高裁は、補償条項は損害賠償を約する身元保証に当たると判断。出向先の監査に問題があるが、出向者を選んだ「元」にも落ち度があり、帰責性は同程度として「元」の負担を5割とした。

適切な監査をせず 人選上の責任あり

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Aは、鉄道会社Y社(一審被告)からX社(一審原告)に出向していた者であるが、出納責任者として経理関係業務を担当していたことを利用して、平成17年から22年にかけて繰り返しY社の預金から金員を引き出して馬券購入代金に充てて横領した。

 X社とY社の間の出向契約においては、出向元であるY社は、出向者が法令またはX社の規則等に違反したことにより、X社に損害を与えた場合、X社が被った損害を補償する、ただし、その原因がX社の責に帰すべき事由によるときはこの限りでないと定められていた(以下「本件補償条項」という)。

 X社は、Aに対しては不法行為に基づく損害賠償として、Y社に対しては出向契約に基づく損害賠償として、連帯して6361万5800円および遅延損害金を支払うよう求めて提訴した。原審(名古屋地判平25・5・8)は、Aに対する請求は全額を認容したが、Y社については、身元保証法5条により、使用者である出向先の過失をしんしゃくして、損害の5割のみを負担させるのが相当であるとし、Aと連帯して3180万7900円および遅延損害金の支払いを求める限度でXの請求を認容し、その余の請求を棄却した。

 X社、Y社双方は各敗訴部分を不服として、控訴した。控訴審判決も、身元保証法を適用し、Y社の責任は5割であるとした。…

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平成27年10月5日第3035号14面 掲載

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