おかざき事件(大阪高判平19・1・18) 子飼いの専務が“過労死”、安全配慮欠くと賠償を 肩書きだけで実質は労働者

2007.12.17 【判決日:2007.01.18】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 小規模会社の専務取締役が出張中に死亡したため、親族らが会社と代表取締役に対し損害賠償の支払いを求めた二審。大阪高裁は一審判決を破棄し、取締役の名称は名目的に付与されたにすぎず、勤務実態は営業社員と同様であるとするとともに、会社が安全配慮義務を負うべき地位にあったと判示。経営者にも任務懈怠による安全配慮義務違反を認め、賠償を命じた。

業務執行権がない 経営者に任務懈怠

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Y1は個人商店を前身とする株式会社で、株式は代表者一族が保有し、株主総会や取締役会の開催もなく、従業員も数人程度で就業規則、賃金規定もない、小規模会社であった。

 A(昭和15年生)は、昭和33年、Y1の前身である個人商店に就職し、昭和51年に専務取締役となり、死亡した平成12年8月31日まで勤務していた。A死亡時の役員は、代表取締役のY2、専務取締役のAおよびY2の母親の3人であった。

 Aは、代表者一族のように利益処分等の経営の根幹にかかわることはなかったが、営業従業員の指導、地方への出張営業等では代表者と共に日常の業務の中心であった。また、他の従業員と異なり皆勤手当等の諸手当がない代わりに、職務手当を含む月額報酬はY2と同額で、雇用保険にも加入せず、遅刻・早退・欠勤があっても報酬が減額されることはなかった。地方出張の具体的日程も自ら決定し、仕事の内容・進め方も細かな指示を受けず、従業員の採用などについてはY2より相談を受けていた。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

平成19年12月17日第2661号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。