津田電気計器事件(最一小判平24・11・29) 継続雇用基準満たすとした原審に対して最高裁は? 評価の誤り正す判断を支持 ★
継続雇用基準の査定には誤りがあり、再雇用拒否を違法とした原判決を受けて、会社が上告した。最高裁は原審を踏襲し、選定基準を満たしており継続雇用の申込みを承諾する義務があるとしたうえで、不承諾は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上認められない」と判示。嘱託再雇用されたのと同様の雇用関係が存続し、賃金や労働時間などは会社規程に従うとした。
賃金も確定が可能 承諾する義務あり
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
上告人(会社)において定年に達した後引き続き1年間の嘱託雇用契約により雇用されていた被上告人が、上告人に対し同契約終了後の継続雇用を求めたものの拒絶されたことから、被上告人は上告人が定めた高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下、「法」という)9条2項所定の「継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準」を満たす者を採用する旨の制度により再雇用されたなどと主張して、上告人に、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに同契約に基づき週40時間(予備的に週30時間)の労働時間に対応する額の賃金および遅延損害金の支払いを求めた事案である。
上告人の就業規則においては、従業員の定年を60歳とする旨が定められているが、上告人は、60歳から1年間嘱託として雇用する取扱いを全従業員に適用していた。
平成18年当時、上告人は、過半数代表者との書面の協定に基づき、同年3月23日付で、法9条2項所定の継続雇用基準を含むものとして、高年齢者継続雇用規程を定め、これを従業員に周知する手続きを執った。本件規程の概要は、①上告人は、高年齢者の在職中の業務実態および業務能力につき作成された査定帳票の内容などを所定の方法で点数化し、総点数が0点以上の高年齢者を採用し、また、採用した者の労働時間につき、総点数が10点以上の高年齢者は週40時間以内とし、これに満たない高年齢者は週30時間以内とする、②賃金については、満61歳のときの基本給の額および採用後の1週の労働時間から所定の計算式で算出される金額を本給の最低基準とし、所定の手当などを支給する旨のものである。
上告人は、…
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