学校法人玉手山学園事件(京都地判令5・5・19) 学生から低い評価だった非常勤講師の更新拒否 雇用継続への期待が上回る

2024.10.10 【判決日:2023.05.19】
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 1年契約を4回更新して雇止めされた非常勤講師が、地位確認等を求めた事案。京都地裁は、非常勤講師の更新期待が高いとはいえないが、学生のアンケート結果が他の教員に比べて悪いことを雇止めの理由として評価することは妥当といえず、雇止めを無効とした。指導能力や勤務態度を判定する仕組みが設けられていないなど、雇止めの理由は全く採用できないとしている。

雇止め理由“なし” 能力を判定できず

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Yは、K大学等を運営する学校法人である。K大学には、専任教員が約130人、非常勤講師が約100人在籍している。

 平成28年4月1日、XはYとの間で、期間を同日から1年とし、K大学において、必修科目であるA語コミュニケーションを担当する非常勤講師として勤務する労働契約を締結した。以降、XはYと令和2年4月まで計4回にわたって契約を更新し(初回の契約と合わせて、以下「本件労働契約」)、週2日、毎学期5~6コマの授業を担当した。

 非常勤講師就業規則(以下「本件就業規則」)には、労働契約の期間は年度内とし年度をまたがない旨、ただし、学園の運営上でとくに必要があると認めるときは、契約更新することができる旨、学園の財政状況、業務遂行状況、および教育課程編成の動向等の理由で契約更新を行わない場合がある旨の規定があり、本件労働契約の労働条件通知書にも、上記「ただし」以下と同様の記載がある。

 K大学の非常勤講師の業務内容は、シラバス記載の授業計画に沿って指定教科書を利用しながら授業を進め、併せて筆記試験等を実施することなどである。なお、授業の進め方や成績の評価方法については、A語科教員から非常勤講師に令和2年3月23日付で配布された資料(以下「本件留意点ペーパー」)において、留意点が挙げられていた。また、Yは、学生に対し、教員評価等に関するアンケート(以下「本件アンケート」)を実施していた。K大学の非常勤講師の採用過程は、専任教員のように厳格ではなく、規程や基準もない。具体的には、専任教員らからの紹介等を通じて候補者を募り、その後、必要に応じて候補者との面接等を実施し、最終的に採用するか否かが決定される。

 令和2年12月11日、K大学はXに対し、次年度の契約更新はしない旨(以下「本件雇止め」)を伝えた。

判決のポイント

ア 本件就業規則…には、…

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令和6年10月14日第3468号14面 掲載
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