高知県公立大学法人事件(高松高判令3・4・2) 有期雇用5年で雇止めされたSEが地位確認 プロジェクト中は更新期待
システム開発のプロジェクト事業に従事させるため、大学が有期雇用したシステムエンジニアを5年弱で雇止めした事案の控訴審。SEは、雇止めは無効であり、契約は更新され5年を超えたことで無期転換したと主張した。高松高裁は、プロジェクト終了時まで契約が更新されることの期待は合理的とした。無期転換の意思表示は期間満了後だったことから、権利の行使は認めなかった。
「無期転換」認めず 満了後に意思表示
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
一審原告は、一審被告との間で有期労働契約を平成25年4月1日または同年11月1日に締結し(契約成立の時期に争いがある)、3回にわたりその有期労働契約を更新した。平成30年4月1日以降、一審被告が労働契約を更新しなかったこと(雇止め)について、一審原告は、労働契約法19条に基づき、その労働契約が更新され、その後、通算契約期間が5年を超えたことから、同法18条1項に基づき、無期労働契約に転換したなどと主張し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認と賃金、賞与等の支払いを求めた。
原審(高知地判令2・3・17)は、一審原告の請求のうち、①一審原告が労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、②平成30年4月以降の賃金、③平成30年6月以降の賞与等を認容した。
一審原告と一審被告は、いずれも原判決を不服として控訴した。
判決のポイント
第一審被告大学外から招聘された立場にあった第一審原告にとって、DNGLプロジェクトが終了する平成31年3月31日まで雇用が継続されると期待したことには、合理的な理由がある。
第一審原告は、…
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