西井運送事件(大阪地決平6・7・27) 懲戒解雇を撤回し、自宅待機を命じる 根拠ない不利益処分で無効

1995.09.25 【判決日:1994.07.27】
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恣意的待機命令は不法行為対象にも

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 Y会社は一般区域貨物自動車運送業を営んでおり、Xは自動車運転手として雇用され、荷受け作業と不定期の臨時便運送業務に従事していた。Y会社は、平成6年6月10日、Xに対して名古屋行き4トントラックの乗務を命じたがXは「現場作業になれてきたので、乗れない」と断った。Y会社は、「社長辞令、本日付で自動車の乗務を命ずる、乗らないときは解雇する」等と口頭で伝えたが、Xがこれを拒否した為、会社は懲戒解雇する旨書面で交付した。そこで、Xは大阪地裁に地位保全の仮処分を申請したところ、Y会社は、前記懲戒解雇の意思表示を撤回すること、就業拒否問題について事実調査と処分を検討中であることを理由に、自宅待機を命ずる旨記載した書面を送付して、Xの就労を認めていない。

決定のポイント

 ①Y会社は懲戒解雇の意思表示を撤回しているが、意思表示の撤回は、当該意思表示が相手方に到達する前にのみ認められ、その意思表示が相手方に到達し当事者に権利義務が発生した後は、撤回は認められないこと、Y会社はその意思表示の撤回に応じた国民健康保険等の資格喪失届の撤回手続きをせず、また撤回と同時に自宅待機を命じて原職復帰を認めていないこと、Xも本申立を維持していること等から、Xの雇用契約上の地位の確認を求める訴訟上の利益がある。

 ②本件解雇は、就業規則に該当条項もなく、…

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平成7年9月25日第2074号10面 掲載

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